American Bankers Association(米国銀行協会:ABA)のRob Nichols(ロブ・ニコルズ)CEOは、米上院銀行委員会による暗号資産(仮想通貨)法案「Clarity Act(クラリティ法案)」のマークアップ(逐条審査)を前に、加盟銀行のCEOらに対し、上院議員へ働きかけるよう求める書簡を送った。
焦点となっているのは、ステーブルコイン保有者に対する「利息のような報酬」をどこまで禁止するかだ。ニコルズ氏は、現在の法案は以前の案より改善されているものの、暗号資産企業が決済用ステーブルコインに利息類似の報酬を提供することを十分に防いでいないと主張した。
同氏は、追加修正がなければ、銀行預金が決済用ステーブルコインへ流出する誘因を不必要に生み、経済成長と金融安定の双方を危険にさらすと警告した。一方で、ABAは暗号資産業界に対する規則や責任あるガードレールを議会が整備すること自体には賛成している。
上院銀行委員会は5月14日、クラリティ法案のマークアップを予定している。この法案は、米国で初めて暗号資産業界に包括的な連邦規制構造を設け、各連邦機関の監督責任を明確にするものとされる。
同委員会は当初、1月に法案審議を予定していたが、大手暗号資産取引所Coinbase(コインベース)がステーブルコイン報酬の扱いなどに懸念を示して支持を撤回したため、直前で取り消された経緯がある。
銀行団体は、特定のステーブルコイン関連活動が報酬を生むこと自体は認めつつ、利息類似の支払いは禁止されるべきだとしている。そのうえで、例外規定が広すぎれば、意図された禁止を回避し、顧客が銀行預金ではなくステーブルコイン残高を増やす誘因になり得ると懸念を示した。
ニコルズ氏は加盟銀行のCEOに対し、上院議員へ書簡を送ること、また従業員にも同様の行動を促すことを求めた。ABAの草の根運動用サイトを通じて、数分で上院議員へ連絡できると説明している。
今回の対立は、ステーブルコインを銀行預金の競合と見る銀行業界と、報酬機能を含む柔軟性を求める暗号資産業界の溝を浮き彫りにしている。上院銀行委員会での審議を前に、ステーブルコイン報酬の扱いは、クラリティ法案の主要な争点となっている。
|文・編集:Shoko Galaviz
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