欧州連合(EU)は4月23日、対ロシア制裁の第20次パッケージを採択した。今回の制裁は暗号資産(仮想通貨)分野に踏み込んだ点が特徴で、ロシアに拠点を置く中央集権型・分散型を含むすべての暗号資産サービスプロバイダー(VASP)との取引を全面的に禁止する。さらに、ルーブル建てステーブルコイン「RUBx」とロシア中央銀行が開発中のCBDC「デジタルルーブル」の使用・支援も明確に禁止対象となり、5月24日に発効する。第三国経由の制裁回避を阻止するため、ステーブルコイン「A7A5」の取引ペアを提供してきたキルギスの取引所も指定された。
暗号資産・ブロックチェーン分野への制裁が拡大している背景には、ロシアが2024年に国際決済での暗号資産利用を合法化して以降、SWIFTに代わる決済インフラとしてブロックチェーンを活用してきた経緯がある。Chainalysis(チェイナリシス)の分析によれば、A7A5はこれまでに累計1197億ドル(約19兆1520億円、1ドル=160円換算)を処理しており、制裁を受けた企業を国際金融システムへ接続する専用決済レールとして機能してきた。
チェイナリシスは「暗号資産は今や金融制裁の脇役ではなく、主要な標的となった」と分析している。EUの「制裁回避防止ツール」が初めて発動されたことを「パラダイムシフト」と位置づけ、指定された個別のVASPだけでなく、決済エコシステム全体や管轄区域のリスクまで審査範囲を広げる必要があると指摘した。中央アジア、コーカサス、UAEのVASPは特に高いリスク領域となる。
|文・編集:井上俊彦
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