ドバイを拠点とする暗号資産(仮想通貨)マーケットメイカーのDWF Labsは16日、DeFi(分散型金融)におけるAIエージェントの現状と課題をまとめたレポートを発表した。
DWF Labsは、暗号資産市場でマーケットメイク事業を手がけるほか、Web3分野への投資も行う企業だ。今回のレポートでは、AIエージェントが力を発揮しやすい領域と、なお課題が残る領域を比較しながら、DeFiでの活用状況を整理している。
複雑なトレードでは人間が5倍の圧勝
レポートによると、DeFiではすでにAIエージェントの導入が進んでおり、流動性供給やポートフォリオ管理、予測市場などで活用が広がっている。エージェント由来の活動は、すでにオンチェーン全体の約19%を占めると推定されている。2025年以降に立ち上がったエージェントは1万7000超にのぼり、関連する取引量やトランザクション数も増加しているという。
ただ、こうしたエージェントがすべての領域で同じように成果を上げているわけではない。用途によって、得意分野と課題の残る分野が分かれているのが現状だ。
その違いが表れた例のひとつが、トレーディング分野である。レポートが取り上げたTrade.xyzの人間対エージェントの取引競争では、各参加者に1万ドルの初期資本が与えられ、レバレッジや取引頻度に制限は設けられなかった。その結果、トップの人間トレーダーはトップのエージェントを5倍超上回った。複数の要素を踏まえて売買判断を下すトレーディングでは、現時点でもなお人間が優位な場面があることを示した。
背景についてレポートは、現在の取引モデルの多くが依然として人間が設定した入力やルールに依存している点を挙げる。機械学習の導入によって、新たな情報を反映しながら挙動を調整する仕組みは発達してきたものの、完全自律型エージェントが複雑な市場環境のなかで安定して成果を出す段階には、まだ至っていないとの見方を示した。
AIエージェントは流動性供給などの分野で成果
一方で、人間よりもAIエージェントが成果を上げやすい分野もある。レポートでは、流動性供給やポートフォリオ管理、イールド(利回り)最適化のように、目的や制約条件が比較的明確な領域では、すでに実用的な成果が出始めているとした。
UPDATED: Just finished mapping the 2026 Agentic Finance Landscape.
— Sam Green (@0xsamgreen) February 23, 2026
AgentFi is reaching escape velocity as AI agents get built on blockchain rails to earn money autonomously for you. But not all agents are created equal.
Our team spent months testing agents, filtered out… https://t.co/axxFluO9s5 pic.twitter.com/qpHJGWtX7h
〈AI関連のDeFiプロジェクトを推進するSam Green氏の投稿より〉
特に流動性供給の分野では、すでに自動化が頻繁に行われており、エージェントが保有するTVLは3900万ドル(約62億円)を超えている。この数字は主に、利用者がエージェントに直接預けた資産を測定したもので、ボールト経由で運用される資本は含まれていない。
代表例として挙げられたのが、Gizaのエージェント型アプリケーションARMAだ。ARMAは1900万ドル(約30億円)超の運用資産と40億ドル(約6362億円)超のエージェント取引高を記録し、USDコイン(USDC)で年率9.75%超の利回りを生み出した。資料では、リバランス手数料や10%の成功報酬を加味しても、Aave(アーベ)やMorphoの通常レンディングを上回ったとしている。

高い取引高に対して運用資産規模が相対的に小さい点について、レポートは、エージェントがポートフォリオを頻繁に再調整しながら利回り機会を取りにいっている可能性を示唆している。利用者は資金をコントラクトに預けるだけで、その後の執行は自動化されるため、監督の手間が比較的小さい点も特徴とされる。ただし、こうしたエージェントはまだ大規模運用で十分に検証されているわけではなく、主要DeFiプロトコル並みの規模で安定して機能するかは今後の課題として残る。
Grok 4.20が独走、他モデルを20%超上回る
また、エージェント同士の競争でもモデル間の差は鮮明だった。Nof1は、Grok-4やGPT-5、Deepseek、Kimi、Qwen3、Claude、Geminiなど複数モデルを対象に、元本保全型から最大レバレッジ型まで異なるリスクプロファイルで競わせる取引競争を実施した。その結果、成績差を説明しうるいくつかの要因が浮かび上がった。
まず、平均保有時間が2〜3時間程度のモデルは、頻繁に売買を繰り返すモデルを大きく上回った。1回あたりの取引で平均して利益を出せていたかを示す期待値では、プラスを確保していたのは上位3モデルに限られ、大半のモデルは勝ちより負けの取引が多かった。レバレッジについても、平均6〜8倍程度に抑えたモデルのほうが、10倍超で運用するモデルより好成績で、高レバレッジは損失拡大を早める傾向が見られた。

プロンプト戦略では、Monk Modeが最も良好な成績を示した一方、Situational Awarenessは最も低調だった。レポートは、ニュースや他モデルの成績といった外部情報への依存を抑え、リスク管理を重視した戦略のほうが成績につながりやすい可能性を示している。ベースモデル別では、Grok 4.20が他モデルを22%超上回って首位となり、異なるプロンプト戦略全体を通じて平均ベースで利益を確保できた唯一のモデルだった。
|文:平木昌宏
|トップ画像:Shutterstock
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