分散型予測市場プラットフォームのPolymarketが、3月30日よりほぼすべての市場カテゴリーにおいてテイカー手数料を導入し、新たな手数料体系へ移行することを発表しました。これまでは暗号資産やスポーツといった一部のカテゴリのみが手数料の対象となっていましたが、政治、金融、経済、文化、気象、テクノロジーなど多岐にわたる分野へ適用範囲を拡大します。
※本記事の内容は、マネックスクリプトバンクが週次で配信している、FinTech・Web3の注目トピックスを解説するニュースレター「MCB FinTechカタログ通信」の抜粋です。マネックスクリプトバンクが運営する資料請求サイト「MCB FinTechカタログ」にて、過去の注目ニュース解説記事を公開していますので、ぜひご覧ください。
Polymarketのダイナミック手数料の仕組み
Polymarketには、流動性を提供する「メイカー」と、その流動性を消費して取引を成立させる「テイカー」が存在します。今回の変更は、テイカーに対してのみ手数料を課し、集めた手数料をメイカーへの報酬として分配する仕組みを拡張するものです。
手数料の計算には、取引されるシェアの価格を用いた数式(fee = C × p × feeRate × (p × (1 – p))^exponent)を採用しています。ここで、Cはシェア(取引の最小単位)、pはシェアの価格(0~1ドル)です。feeRateおよびexponentはカテゴリに応じて設定される手数料率です。この数式に基づき、不確実性が最も高い価格50セント(確率50%)の時点で手数料率は最大に達し、結果が確実な状態(100%または0%)に近づくにつれて手数料がゼロへ収束するダイナミックな構造を持ちます。
3月30日以降の新たな手数料率
Polymarketの公式ドキュメントによると、3月30日以降に新規作成される市場から新しい手数料率が適用されます。既存の市場には影響しません。
カテゴリごとに手数料率は異なり、ボットによる高頻度取引が多い「暗号資産」カテゴリでは最大1.80%の手数料を設定しています。次いで「経済」が最大1.50%、「文化」や「気象」が最大1.25%、「政治」「金融」「テクノロジー」が最大1.00%、「スポーツ」が最大0.75%となります。
重要な点として、「地政学および世界情勢」に関するイベントについては、純粋な情報源としての価値を歪めないために、引き続き手数料を免除する方針を公表しています。これは、米上院などで軍事攻撃といった政府行動に関する取引を禁止する法案が検討されていることを受けた対応と推測されます。
他プラットフォームとの比較
Pine Analyticsの分析によると、この新たな手数料体系の導入により、Polymarketの1日あたりの純プロトコル収益は約58万ドル~95万ドルの範囲に達すると推計されています。年間換算では約2億900万ドル~3億4200万ドルの規模となります。
米国でCFTC(米商品先物取引委員会)の認可を受ける競合のKalshiは、2025年に約2億6000万ドルの収益を得ていると報道されています。今回の改定によって、Polymarketは最大の競合であるKalshiと同水準の収益基盤を確保する見込みとなります。
考察
3月27日には、ニューヨーク証券取引所(NYSE)の親会社であるIntercontinental Exchange(ICE)が、Polymarketに対して6億ドルの追加投資を行ったことが報道により明らかになっています。
この追加出資と手数料体系の変更は、プラットフォームのビジネスモデル転換において連動しています。競合のKalshiが年間2億ドルを超える収益基盤を構築し、220億ドルの評価額を達成する状況下において、Polymarketは手数料無料でのユーザー獲得フェーズから持続可能な収益モデルへの移行を進めています。
一方で、手数料の導入はテイカーの取引活動を抑制し、流動性の低下を招くリスクを伴います。ICEからの出資金は、この移行期において、流動性を提供するメイカーへの報酬を安定的に支払うための財務基盤として機能します。Polymarketは強力な資金的裏付けを確保することで、流動性を維持しつつ収益化へ踏み切ることができた、といえそうです。
今後、両社の競争はプラットフォームの収益力と流動性の維持へ移行することが想定されます。Polymarketが今回設定した最大1.80%の手数料率が取引活動を低下させることなく収益へ結びつくかどうかが、今後の動向を測る指標となるでしょう。
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