ブロックチェーン分析企業TRM Labs(TRMラボ)のレポートによると、予測市場は急速に拡大し、2026年初頭には月間取引高が200億ドル(約3兆1000億円、1ドル=155円換算)を超えた。2025年初頭には約12億ドル規模にとどまっていたことを踏まえると、わずか1年で市場構造が大きく変化したことになる。
この成長を支えているのは、既存ユーザーの取引増加ではなく、新規参加者の流入だ。TRMは、ユニークウォレット数が半年で約3倍に増加し、2026年2月時点で約84万に達したと推計している。予測市場は、限られたトレーダーの市場から、より広範な参加者を取り込むフェーズへ移行している。
現在の予測市場では、取引対象にも変化が見られる。かつてはビットコイン(BTC)価格など暗号資産(仮想通貨)関連が中心だったが、現在は地政学や政治、マクロ経済が主なテーマとなっている。
例えば、米国とイランを巡る軍事的緊張や中東情勢に関する市場には多額の資金が流入し、短期間で大きな取引量を記録した。さらに、米国の金融政策や政府運営に関する契約も高い関心を集めている。
こうした動きから、予測市場は単なる投機の場ではなく、世界の出来事に対する期待や不確実性を反映する指標としての役割を強めている。
成長の転機は2024年以降の制度変化
予測市場の急拡大は、制度面の変化とも連動している。2024年10月、米国で予測市場プラットフォームが選挙関連契約を提供できるとする判断が示され、これが大きな転機となった。
その後、スポーツ分野への展開や証券会社との連携により、一般投資家へのアクセスが拡大した。さらに2026年には規制リスクの一部が後退し、プラットフォームの米国市場への再参入が進んだ。こうした環境整備が、資金流入とユーザー拡大を後押ししたとみられる。
収益を上げているウォレットの分析からは、いくつかの戦略が浮かび上がる。金利政策などマクロ経済の予測に基づく取引、アルゴリズムによる継続的な売買、特定イベントに集中する短期戦略などが代表例だ。
特定の分野に限定せず、複数の市場を横断して確率の歪みを見つけることが、高い収益につながっているとみられる。
市場操作の懸念、規制の空白が課題に
急速な成長とともに、予測市場の課題も浮き彫りになっている。TRMは、特定のイベント前に複数のウォレットが同時にポジションを構築するなど、従来の金融市場であれば問題視される可能性のある取引パターンを確認している。
2026年米国によるイラン空爆を巡る市場では、複数のウォレットが類似したタイミングで取引を行い、大きな利益を得た事例が確認された。これらは違法行為と断定されているわけではないが、情報優位性や協調行動の可能性を示唆している。
現時点では、予測市場におけるインサイダー取引の定義や規制は明確ではない。従来の金融市場とは異なり、匿名性や分散性が高いことが、監督を難しくしている。
|文・編集:Shoko Galaviz
|画像:Shutterstock
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