英国の広告規制当局であるASA(Advertising Standards Authority:広告基準局)は1月28日、暗号資産(仮想通貨)取引所Coinbase(コインベース)の複数の広告について、暗号資産への投資が経済問題解決に役立つと示唆し、暗号資産投資のリスクを軽視しているとして掲載を禁止した。
問題となったのは、英国の経済問題を風刺的に描いた動画広告と3つのポスター広告。
動画広告では、人々が、自宅が荒廃して停電に見舞われる中で「全てが順調」と歌う様子や、ごみ袋とネズミが溢れる通りで歌い踊り続ける様子が映し出されている。歌が最高潮に達すると「IF EVERYTHING’S FINE DON’T CHANGE ANYTHING(全てが順調なら、何も変える必要がない)」という文字が画面に表示され、歌が終わるとその文字が「Coinbase」のロゴに切り替わる。
広告で使用されている「IF EVERYTHING’S FINE DON’T CHANGE ANYTHING」というフレーズは、広範な経済問題を皮肉った表現として捉えられ、自身の経済状況に不満がある場合は従来の金融機関以外の選択肢を検討すべきだと示唆するものだと、ASAは判断した。生活費や住宅所有などの分野で国が失敗しているという印象を与えることで、広告は消費者に対し、金融上の変化を起こすべきだと示唆していたと述べた。
さらに、深刻な経済的懸念をユーモアを交えて言及して「変化」を促すメッセージを併記することは、複雑でリスクの高い金融商品を、それらの懸念に対する簡単で明確な解決策として提示するリスクがあると指摘。広告は、暗号資産が生活費に関連する金融不安に対する代替手段になり得ると示唆していたため、暗号資産投資に伴うリスクを軽視していると判断したという。
こうした理由から、ASAはコインベースの広告は無責任であると結論づけた。
今回の措置は、暗号資産企業が消費者に発するメッセージを英国の規制当局が監視している実態を浮き彫りにしている。英国のFCA(Financial Conduct Authority:金融行動監視機構)は1月23日、暗号資産規制の協議を進める中で、協議プロセスの最終段階として暗号資産企業向けの追加ルールに関する意見募集を開始した。
|文・編集:廣瀬優香
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