暗号資産(仮想通貨)投資会社のGrayscale(グレイスケール)が、BNBを追跡する現物型のETF(上場投資信託)を立ち上げるため、米証券取引委員会(SEC)に登録届出書を提出した。提出されたのはForm S-1で、ETFの実現に向けた最初のステップとなる。
申請されたファンド名は「Grayscale BNB Trust(グレイスケールBNBトラスト)」で、ティッカーは「GBNB」。投資家はこのETFを通じて、BNBを直接保有することなく、BNBへのエクスポージャーを得られる設計となる。
ただし、S-1の提出だけでETFが上場できるわけではない。上場予定先とされるNasdaq(ナスダック)が、取引所側の手続きにあたる19b-4を別途提出し、SECから承認を得る必要がある。この点を踏まえると、今回の申請は「計画が動き始めた」段階であり、実際の上場には追加のプロセスが残されている。
BNBはかつて「Binance Coin(バイナンスコイン)」として知られ、世界的な暗号資産取引所Binance(バイナンス)と結びつきが強いトークンだ。
BNBはBNB Chain(BNBチェーン)のネイティブトークンであり、同チェーンは分散型アプリケーション(dApp)を支えるブロックチェーンネットワークとして利用されている。さらに、BNB保有者にはバイナンスでの取引手数料の割引といったメリットがあり、Binance Card(バイナンス・カード)を通じた店頭決済や旅行予約などにも用いられるという。
今回の動きは、先行してBNB ETFを申請しているVanEck(ヴァンエック)に続くものでもある。ヴァンエックは、2025年5月にBNB ETFを提案しており、申請はまだ承認されていない。
また、ヴァンエックは2025年11月、BNB ETFの提案内容を改訂し、ステーキング要素を削除した。同社が最近ローンチしたSolana(ソラナ)のETFではステーキングを取り入れていた一方で、BNBでは外した形となる。
そして注目すべきは、今回のグレースケールのBNB ETF申請でもステーキングが含まれていない点だ。これは米国でステーキングをめぐる規制上の不透明さが続いていることを踏まえた判断である可能性がある。ETFとしての設計や当局対応を優先し、余計な論点を増やさない戦略とも受け取れるだろう。
現状、米国市場ではBNBを対象とするETFはまだ取引されていない。一方で欧州では、21Shares(21シェアーズ)が提供するBNB ETP(上場取引型金融商品)を通じてBNBへの投資機会が存在する。
さらにこの申請は、グレイスケールが最近進めている、暗号資産ETF展開の一環でもある。同社はBNB以外にも、NEAR(ニア)など単一資産型ETFの提案を行っているほか、ニアに連動する既存のクローズドエンド型トラストをETFへ転換する計画も進めている。これまでにもビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、エックス・アール・ピー(XRP)、ドージコイン(DOGE)、チェーンリンク(LINK)に連動するETFなどを揃えてきた。
暗号資産ETFの立ち上げが相次ぐ背景には、米国での規制・政治環境がデジタル資産にとって比較的追い風になっていることがある。ソラナ(SOL)、XRP、ドージコイン、ヘデラ(HBAR)、チェーンリンクなどを追跡するファンドが市場に登場している中で、BNBもETF競争に本格的に加わりつつある。
|文・編集:Shoko Galaviz
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