米商品先物取引委員会(CFTC)のMike Selig(マイク・セリグ)委員長が、予測市場を巡る州政府との法的対立に本格的に踏み込んだ。セリグ氏は、予測市場に対する管轄権は州ではなく連邦機関であるCFTCにあると明言し、同委員会として連邦裁判所にアミカス・ブリーフ(意見書)を提出したことを明らかにした。
「この分野における我々の権限に異議を唱える者がいるなら、はっきり言おう。法廷で会うことになる」と、セリグ氏はXに投稿した動画声明で述べた。
「予測市場は20年以上規制されてきた」
セリグ氏は、米国の予測市場は新しいものではなく、CFTCが20年以上にわたり規制してきたと強調する。「これらの市場は、気温上昇やエネルギー価格急騰といった商業リスクをヘッジする手段を一般の米国人に提供している。また、ニュースメディアや情報の流れに対する重要なチェック機能も果たしている」と説明した。
X上でも、「議会はコモディティに基づくあらゆる契約についてCFTCに包括的な権限を与えている。コモディティの法的定義は非常に広い」と投稿。予測市場がデリバティブ(派生商品)として連邦法の枠組みに含まれるとの立場を明確にした。
さらに、「米国は世界の金融市場のリーダーであり続けなければならない」と述べ、暗号資産(仮想通貨)分野においても米国が中心的役割を担うべきだとの姿勢を示した。
州政府との法的衝突
一方で、ネバダ州やマサチューセッツ州、ニューヨーク州など複数の州は、Polymarket(ポリマーケット)やKalshi(カルシ)といった予測市場プラットフォームが州のスポーツ賭博法に違反していると主張し、取り締まりを進めている。
ネバダ州では連邦判事が昨年11月、州当局の主張を認める判断を示し、当該契約はCFTCの管轄ではないとの見解を示した。ただし、この判断は現在控訴中だ。
大手暗号資産取引所Coinbase(コインべース)も予測市場分野への参入を進めているが、スポーツ関連契約を巡りコネチカット州、イリノイ州、ミシガン州を相手取って提訴している。
政権交代後の方針転換
CFTCは過去、ポリマーケットやカルシと法廷で争い、政治関連の賭けが「公共の利益に反する」と主張していた。しかし、裁判所はカルシ側の主張を支持。その後、ドナルド・トランプ政権下でCFTCの指導部が刷新され、対立姿勢は後退した。
2025年初頭にはトランプ氏の長男、ドナルド・トランプ・ジュニア氏がカルシの戦略顧問に就任。8月にはポリマーケットのアドバイザリーボードにも参加した。さらに10月には、Trump Media & Technology Group(トランプ・メディア&テクノロジー・グループ)が予測市場事業への参入を発表している。
セリグ氏は上院承認後、「商品取引所法に基づく合理的かつ一貫した解釈に基づき、新たなルール策定を進める」と述べ、予測市場に関する政策を見直す方針を示していた。
ユタ州知事が反発
セリグ氏の発言に対し、ユタ州のSpencer Cox(スペンサー・コックス知事)はXで応戦。「CFTCが(NBAスター選手の)レブロン・ジェームズのリバウンド数という『デリバティブ市場』を管轄しているとは記憶していない」と皮肉を込めて投稿した。
コックス氏は、予測市場は「純粋なギャンブル」であり、特に若者や家庭に悪影響を及ぼしていると批判。「法廷で打ち負かすためにあらゆる権限を行使する」と強い姿勢を示した。
ユタ州は主要な訴訟州ではないが、州議会では特定のスポーツ関連契約を対象とする立法の動きもある。
|文・編集:Shoko Galaviz
|画像:Shutterstock
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