2026年の幕開けと同時に、暗号資産(仮想通貨)市場に明確な変化が現れている。米国のビットコイン(BTC)現物ETF(上場投資信託)が、1日あたり約6億9700万ドル(約1090億円、1ドル=157円換算)という、2025年10月以来で最大規模の資金流入を記録した。
年初から急回復するETFフロー
データによると、2026年最初の2取引日で、米国の現物ビットコインETFには合計約11億6000万ドル〜12億ドルの純流入が確認された。これは、ビットコイン価格が年初の約8万7000ドルから9万3000ドル台へと、約7%上昇したタイミングと重なる。
とりわけ注目されるのは、1日あたりの流入額としては3カ月ぶりの高水準である点だ。2025年後半は、ETFからの資金流出が続き、市場心理も冷え込んでいた。しかし、その流れが年明けと同時に反転したことは、単なる短期的な値動き以上の意味を持つ可能性がある。
ETF別に見ると、資金流入の中心は依然として大手運用会社だ。
BlackRock(ブラックロック)の「IBIT」には約3億7200万ドル、Fidelity(フィデリティ)の「FBTC」には約1億9100万ドルが流入し、他にもGrayscale(グレイスケール)、Bitwise(ビットワイズ)、ARK 21Shares(アーク・21シェアーズ)、VanEck(ヴァンエック)、Invesco(インベスコ)、Franklin Templeton(フランクリン・テンプルトン)、Valkyrie(ヴァルキリー)といった主要プレイヤーのETFが軒並みプラスとなった。1
2本中9本のETFが資金流入を記録したことは、市場全体としての改善を示している。
過去の「底打ち」とETFフローの関係
オンチェーン分析企業Glassnode(グラスノード)のデータによれば、ビットコイン現物ETFでは、大規模な資金流出が発生した局面が、結果的に相場の局所的な底になってきたケースが多いという。
- 2024年8月:円キャリートレード巻き戻し局面で、ビットコインは約4万9000ドルまで下落
- 2025年4月:関税を巡る市場混乱で、約7万6000ドルが局所安値
いずれの局面でも、ETFからの資金流出がピークを迎えた後に相場が反転している。今回、2025年10月から続いていた流出傾向が再びプラスに転じたことは、同様のパターンを意識させる。
もう一つの注目指標が「コインベース・プレミアム」だ。これは、米国取引所Coinbase(コインベース)と海外取引所の価格差を示すもので、機関投資家の需要を反映しやすいとされる。指数は現在、わずかにマイナス圏まで戻っており、市場が「投げ売り(キャピチュレーション)」状態を脱しつつあることを示唆している。
ビットコイン以外にも波及
今回の資金流入は、ビットコインにとどまらない。
同日、イーサリアム(ETH)現物ETFにも約1億6800万ドルの純流入が確認されたほか、エックス・アール・ピー(XRP)、ソラナ(SOL)、ドージコイン(DOGE)、チェーンリンク(LINK)といったアルトコインETFにも資金が向かった。
|文・編集:Shoko Galaviz
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