Gensyn、分散型情報市場「Delphi」ローンチ──AIが決済する新たなクリエイター経済モデル

AIインフラネットワークを手がけるGensynは、分散型情報市場プラットフォーム「Delphi」を正式にローンチした。クリエイターが独自の市場を構築し収益化できる仕組みを提供し、従来のプラットフォーム型モデルからの脱却を目指す。

Delphiは、いわゆる予測市場の概念を拡張し、「情報そのもの」を取引対象とする新しいマーケット構造を採用している点が特徴だ。市場の作成者であるクリエイターが主体となり、参加者は知識や見解をもとに取引を行う。従来のように中央管理者が収益の一部を徴収する仕組みは排除されている。

市場が公開されると、ユーザーはピアツーピアで取引を行い、その結果はAIモデルによって決済される。これにより、人間による判断や運営主体による恣意的な介入のリスクを低減し、透明性の高い運用を実現するという。AIは「検証可能なオラクル」として機能し、結果の正当性を担保する役割を担う。

近年、予測市場は急速に拡大しており、2026年3月だけでも数十億ドル規模の取引が行われたとされる。しかし、これらの市場は多くの場合、クリエイターが形成するコミュニティや専門知識に依存しているにもかかわらず、収益の大部分はプラットフォーム側に帰属してきた。

Delphiはこうした構造を見直し、「情報市場」として中間業者を排除することで、クリエイターと参加者の双方に直接的なインセンティブを提供する。クリエイターは自身の市場から収益を得ることができ、参加者は正確な知識や洞察に基づいて利益を得る機会を持つ。

Gensynの共同創業者兼CEOであるBen Fielding(ベン・フィールディング)氏は、「中央集権的な構造は、情報と洞察の可能性を制限してきた」と指摘し、「Delphiは人間とAIの双方に最適化された初のシステムであり、情報取引を通じて新たな価値創出の循環を生み出す」と述べた。

また、DelphiはGensynが構築するAIインフラ上で稼働しており、計算資源やデータ、情報交換の基盤を統合したエコシステムの一部として設計されている。人間とAIが同一の市場で相互に作用することで、継続的な学習と価値創出が可能になるとされる。

テストネットは2025年12月に公開されており、すでに数百万ドル規模の取引高を記録している。これは、分散型の情報市場に対する関心の高さを示すものとされる。

|文・編集:Shoko Galaviz
|画像:Shutterstock

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