ニューヨーク証券取引所(NYSE)と、現実資産のトークン化で知られるSecuritize(セキュリタイズ)は、トークン化証券市場の発展を目的とした覚書(MOU)を締結した。両社は、ブロックチェーンを活用した新たな市場インフラの構築に向けて協力し、次世代の資本市場のあり方を模索する。
今回の提携の中心となるのは、NYSE関連の「デジタル取引プラットフォーム(Digital Trading Platform)」の開発だ。このプラットフォームでは、株式やETF(上場投資信託)などの証券をブロックチェーン上で発行・取引・決済する仕組みの構築が想定されている。
セキュリタイズは、このプラットフォームにおいて初の「デジタル移転代理人(デジタルトランスファーエージェント)」として位置付けられ、企業やETF発行体向けにブロックチェーンネイティブな証券の発行(ミント)を担う役割を担う見込みだ。
両社は今回のMOUに基づき、トークン化証券のオンチェーン決済を支えるためのデジタル移転代理人プログラムの設計にも取り組む。この取り組みでは、証券の所有権記録の管理やコーポレートアクションの対応など、従来の証券市場で求められる機能を維持しながら、ブロックチェーン技術への適応を図る。
また、デジタル移転代理人やトークン化エージェントに関する標準化も進める計画で、規制要件、運用体制、技術基盤といった観点から、機関投資家レベルのインフラ構築を目指す。
NYSEグループのLynn Martin(リン・マーティン)社長は、「トークン化によって資本市場がどのように進化するかを探る中で、投資家が期待する信頼性、透明性、保護を維持することが重要だ」と述べた。その上で、デジタル資産インフラや移転代理業務における実績を持つセキュリタイズを、設計パートナーとして評価している。
セキュリタイズは、米証券取引委員会(SEC)に登録された移転代理人であり、ブロックチェーン上での資産管理に関するインフラを長年構築してきた実績を持つ。今回の取り組みでは、公式な所有権記録の維持や証券の適格性確保など、従来市場の基準を満たすための仕組み作りに貢献する。
同社のCarlos Domingo(カルロス・ドミンゴ)CEOは、「トークン化を現実の市場構造の中で機能させるためには、規制や運用面での整合性が不可欠だ」とし、今回の提携がその基盤構築につながるとの見方を示した。
さらに、セキュリタイズの関連企業であるSecuritize Markets(セキュリタイズ・マーケッツ)は、新たなデジタル取引プラットフォームにおいてブローカーディーラーとして参加する見込みだ。これにより、発行体主導のトークン化証券の市場構造形成にも関与することになる。
トークン化市場の拡大背景
トークン化証券は、株式や債券といった従来の金融商品をデジタル化し、ブロックチェーン上で管理する仕組みとして注目を集めている。これにより、取引や決済の効率化、透明性の向上、アクセスの拡大といった効果が期待されている。
今回のNYSEとセキュリタイズの提携は、こうした流れの中で、従来の金融市場とデジタル資産の融合を進める具体的な取り組みの一つと位置付けられる。
セキュリタイズは、欧州でもDLTパイロット制度の下で投資会社および取引・決済システムの運営認可を取得している。米欧双方で規制対応済みのデジタル証券インフラを展開する企業として、国際的な存在感を高めている。
また、同社はブラックロック(BlackRock)やKKR、Apollo(アポロ)といった大手資産運用会社と連携し、トークン化ファンドの提供を進めており、運用資産は40億ドル(約6200億円、1ドル=155円換算)を超えている。
|文・編集:Shoko Galaviz
|画像:Shutterstock
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