英国の金融行動監視機構(FCA)は1月23日、暗号資産(仮想通貨)企業に関する規制整備を進める中で、協議プロセスの最終段階として追加ルールに関する意見募集を開始した。
今回の協議は、英国で暗号資産サービスを提供する企業に対し、消費者保護の観点からより具体的な基準を提示する狙いがある。FCAは回答期限を2026年3月12日としており、暗号資産企業に加えて、監査法人、助言者、業界団体、消費者団体などにも意見提出を求めている。
FCAが中心に据える消費者保護義務は、金融事業者がリテール顧客に対してどのように行動すべきかについて高い基準を課すルールだ。企業には、顧客に対して誠実に行動すること、予見可能な害を避けること、そして顧客が金融目標を達成するのを助けることが求められる。単に販売時の説明だけではなく、情報提供、価格設定、サポート体制など、顧客体験の全体を通じて適切な対応が必要になる。
FCAは暗号資産企業に対しても、この消費者保護義務が「顧客にとって良い結果を提供し、生活の中で金融判断を行ううえでの支援につながる適切な基準を与える」と説明する。つまり、暗号資産が持つ独自のリスクを前提としながらも、利用者保護に必要な最低ラインを明確化する方向性だ。
一方でFCAは、規制の目的がイノベーションの抑制ではないことも強調している。
「イノベーションが成長できる市場」を望むとしつつ、投資家がリスクを理解することの重要性を繰り返し訴えた。さらに、規制はすべてのリスクを取り除くものではなく、取り除こうとするべきでもないという立場を明確にしている。
今回の協議では、消費者保護義務に加えて、暗号資産企業に適用されるルール領域として、行動基準、救済、資産保護なども扱われる。プレスリリースでは、国際的に事業を行う暗号資産企業に対する規制アプローチについてもフィードバックを募集するとしている。
FCAは、暗号資産規制のロードマップに沿って整備を進めており、2026年9月に「暗号資産の許可」に関する申請ゲートウェイを開くことを目標に掲げる。これにより企業は、将来的な本格規制に向けた準備を具体的に進めることになる。FCAは、企業が基準を満たし、申請開始に備えられるよう支援しているとも述べた。
また、英国では財務省が2025年12月に導入した法制度により、既存の金融ルールを暗号資産企業にも拡張する流れが明確になったという。FCAは今月初め、暗号資産関連サービスを提供する企業は、2027年10月に発効する新ルールの下で認可が必要になると発表している。さらにこの認可要件は、マネーロンダリング規制に基づき既に登録済みの企業にも適用されるとされた。
FCAは、暗号資産が現時点では「主に未規制」であることにも言及している。ただし完全に無規制というわけではなく、金融プロモーションや金融犯罪対策の目的では規制対象となっている点も示された。
今回の意見募集でFCAが協議対象として列挙したのは、苦情処理と救済の枠組み、事業者の行動基準、暗号資産購入における信用利用、従業員の訓練と能力基準、シニアマネージャー・認証制度(SM&CR)、報告義務、暗号資産の保護・管理、担保の取り扱い、拠点に関する方針など多岐にわたる。
|文・編集:Shoko Galaviz
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