●相場は下落後の調整局面で、弱気寄りだが売りは一巡しつつある。
●価格が不安定でも、長期保有アドレスの買いは継続している。
●下値は支えられているが、上昇局面入りには至っていない。
現在のビットコイン市場は、下落トレンドの初動を経た後の調整フェーズに位置づけられる。方向性としては弱気寄りだが、売りが一巡しつつある兆候も見られる段階であり、明確な上昇局面に入ったとは言い難い。
この局面で注目されるのが、参加者ごとの行動の違いである。個人投資家の一部は価格下落に対する不安からポジションを縮小している一方、オンチェーンデータを見ると、いわゆるAccumulator Addresses(長期保有を前提に売却履歴を持たないアドレス)による需要は増加傾向を維持している。添付のデータが示す通り、価格が不安定な局面でも、これらのアドレスは一貫してBTCを積み上げており、短期的な値動きとは異なる時間軸で行動していることが確認できる。
この構造は、市場の主導権が感情的な売買から、より資金力と時間軸の長い参加者へ移りつつあることを示唆する。ただし、これは直ちに上昇トレンド入りを意味するものではない。ETFフローの改善や短期保有者の損益構造が好転しない限り、価格はレンジ内での調整が続く可能性も残る。
現時点では、下値は長期資金により支えられつつあるという見方がベースシナリオ。ただし、Accumulator需要の減速や強制的な清算が再び増加する場合、この見方は見直す必要がある。
オンチェーン指標の見方
Accumulator Addresses Demandとは、長期保有を前提とする積み上げ型アドレスによるビットコインの純需要を示すオンチェーン指標。市場内で「静かな買い手が存在しているか」を可視化する。需要が増加している局面では、価格変動に左右されず、長期視点の資金がBTCを集めている構造を意味する。これは短期的な上昇シグナルではない一方、需給の下支えが形成されていることを示し、調整局面や次のトレンド転換前に多く見られる特徴と解釈される。
