【墨汁うまい氏寄稿】イーサリアムのストローマン(Strawman)とは?今後5年の開発ロードマップを理解する

暗号資産(仮想通貨)専業11年目の墨汁うまい(@bokujyuumai)です。イーサリアムは2024年11月のデブコン2024で発表したL1にフォーカスした開発ロードマップ「ビームチェーン(Beam Chain)」の発表から2年ぶりとなる新たな開発ロードマップ「ストローマン(Strawman)を新たに発表しました。

本稿ではこのストローマン及びストローマップについて仮想通貨(暗号資産)投資家向けにわかりやすく解説を行います。

ストローマンとは?

イーサリアムのストローマンとは2026年2月26日にイーサリアムによって新たに公開された今後5年にかけての最新の開発ロードマップであり、2026年から20229年にかけての詳細なタイムラインが記載されたストローマップ(Strawmap)と同時に公開されているものです。

イーサリアムの開発目標は「1年に2回の大型アップデート」であり、そのためこのストローマンのストローマップでは2026年の例でいえば上半期に「グラムステルダム(Glamsterdam)」、下半期には「ヘゴタ(Hegota)」アップデートが予定されているということになります。

このストローマンのロードマップでは

・コンセンサスレイヤー=イーサリアムの分散合意
・DAレイヤー=ロールアップなどのL2データ書込み/読込み
・実行レイヤー=トランザクションやコントラクト実行

ごとに、各年の大型アップデートを目的別にわかりやすく記載しているということです。

すなわち2029年にかけての約5年間の開発目標であり、2030年以降の長期目標までがきれいに整理された最もわかりやすいイーサリアムの現状目標というのが特徴です。

ビームチェーンが発表された際には開発をL1にフォーカスしたものであり、全体のイーサリアム開発アプローチはまだ不明瞭でした。一方でこのストローマップではビームチェーンの開発だけでなく、マージ(The Merge)を行ってマイニングからステーキングに移行した際のロードマップ、サージ(The Surge)やスプラージ(The Splurge)などの複数のロードマップも現実的なタイムラインに落とし込んで統合されたということです。

2026年のイーサリアム開発ロードマップ

ではまずは今年のイーサリアムの大型アップデートについてみていきましょう。

ストローマンではコンセンサスレイヤー、DAレイヤー、実行レイヤーをバランスよく開発目標としており、グラムステルダムではブロック提案を行う「プロポーザー」とトランザクションを取り込む「ビルダー」を分離しバリデータの中央集権化や分散金融(DeFi)におけるフロントランニング問題やMEVなどの対処の「ePBS」やより高速なファイナリティをビーコンチェーンで導入、またデータ可用性レイヤーとしてはL2が書き込むブロブの読み書きを改善し、実行レイヤーではスケーリングのボトルネックになっている現在のガス代シミュレーションを改善、ブロック生成時の安定性強化を行うBALsなどを実装します。

そしてヘゴタアップデートではスロット(ブロック)時間の短縮、プリコンファーメーション(Pre-Confirmation)を実装するために必要なブロック提案方式を大幅に変更するFOCIL、ブロブの取り扱いを変更し、再度ガス代のシミュレーションを変更、ネイティブアカウント抽象化などを行います。すなわち2026年から2027年にかけてイーサリアムは前回のフサカ大型アップデートのL2へのフォーカスから、イーサリアム自体の分散性や処理能力を向上させる大幅改良が行われることになるわけです。

2029年に向けてのイーサリアム開発

また2029年に向けて直近のイーサリアム発明者である ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏のL2中心のスケーリングからL1及びネイティブロールアップでのスケーリングという点からビーコンチェーンではファイナリティを加速させるために現在の32スロット1エポックから8分の1の4スロットへ変更。さらにスロットタイム(ブロックタイム)を半分の6秒にすることで2倍のスケーリングが予定されています。

ePBSのさらに先のバリデータの役割分散が予定されており、フォークチョイスルールにおけるファイナリティやジャスティフィケーションなどの分散合意を行う際に必要なアテステーションに上限を設定、さらにはAPSで署名を行うアテスターとブロック提案を行うプロポーザーも分離するAPSも検討されている状態です。

データ可用性としてはブロブの許容量を増やしていき、L2のスケーリングは変わらず行われますが、その課程に分離していたブロブトランザクションを他のトランザクションと同じブロックに含むことにし、最終的に元のコールデータに戻すことが計画されてい状態です。

また実行レイヤーではzkEVMの統合をスコープに入れたZK化、現状のシーケンサー方式のロールアップからネイティブロールアップ。そして注目したいのが「量子コンピュータ耐性のためのZK移行と検証性を補助するNTTの導入」でしょう。

2030年以降のイーサリアム開発ロードマップ

最後に今後5年以降のイーサリアムの開発アプローチについて見ていきましょう。まずコンセンサスレイヤーでは

1.1スロット毎に100万アテステーション
2.51%攻撃の自動リカバリ
3.ブロック作成の分散
4.FDVを利用したランダムネス
5.プロポーザーの秘匿

を開発目標としています。

すなわち2019年のイーサリアム1.xの頃から検討していた検証関数VDFでより悪意のある攻撃者がプロポーザーなどの予測を困難にし、コンセンサスをこれまでの暗号資産にないレベルで強化することを目標としているということです。

データ可用性については

1.イーサリアムL2を秒間で1GB
2.プルーフ・オブ・カストディ(Proof of Custody)

を目標とし、秒間処理能力という速さだけで判断されがちな点を大幅強化、さらにはプルーフ・オブ・カストディで「怠慢なバリデータ問題」を解決し、よりワールドコンピュータを強化します。

実行レイヤーについては

1.秒間1GBのスケーリング
2.zkISA
アカウント抽象化の証明
4.L1トランザクションの匿名化

すなわちL1とL2をあわせてワールドコンピュータをスケーリングさせ、現在のボトルネックとなっているEVMを改善、最終的にはジーキャッシュ(ZCash)スタイルの匿名トランザクションを目標とする最強ロードマップと言えるでしょう。