Ethereum Foundation(イーサリアム財団)の研究者らは、2029年までに7回のハードフォークを実施する構想を示す技術ドラフト「strawmap(ストローマップ)」を公開した。発表は研究者Justin Drake(ジャスティン・ドレイク)氏によって行われ、今後数年にわたるレイヤー1(L1)プロトコルの進化を包括的に示している。
ストローマップは「strawman(たたき台)」と「roadmap(ロードマップ)」を組み合わせた造語であり、分散型エコシステムにおいて単一の公式ロードマップが存在し得ないことを前提にした議論の出発点と位置付けられている。イーサリアム財団アーキテクチャチームが管理し、四半期ごとに更新される予定だ。
5つの「ノーススター」
文書では、7回のハードフォークを通じて達成すべき5つの主要目標が「ノーススター」として掲げられている。
1つ目は「fast L1」。現在約12秒のスロット時間(ブロック生成間隔)を段階的に短縮し、最終確定(ファイナリティ)を秒単位にまで圧縮する構想だ。現状、取引が不可逆となるまで約16分を要するが、最終的には8秒程度まで短縮する可能性が示されている。
2つ目は「gigagas L1」。zkEVMやリアルタイム証明を活用し、1秒あたり1ギガガス、約1万TPSの処理能力を目指す。
3つ目は「teragas L2」。データ可用性サンプリングにより、1秒あたり1ギガバイト、約1000万TPS規模の処理をL2ネットワークで実現する。
4つ目は「post quantum L1」。量子計算機に耐性を持つハッシュベース暗号へ移行することで、将来的な暗号解読リスクに備える。
5つ目は「private L1」。シールド型イーサリアム(ETH)送金を導入し、ベースレイヤーでのプライバシー機能を強化する。
段階的な高速化と合意設計
イーサリアム共同創業者Vitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏は、ストローマップを「非常に重要な文書」と評価し、スロット時間の段階的短縮を説明した。12秒から8秒、6秒、4秒、最終的には2秒へと縮める構想で、各段階はネットワーク安全性の検証を前提とする。
ファイナリティも並行して短縮される見込みで、現在の約16分から、10分40秒、6分24秒、1分12秒、48秒、16秒、そして最終的に8秒までの可能性が示された。
これらは一括変更ではなく、合意アルゴリズムの各要素を段階的に置き換える方式で進められる。ブテリン氏はこれを「テセウスの船」のような再構築と表現している。
ドレイク氏はX上で、ストローマップは予測ではなく「加速主義的な調整ツール」だと説明した。
フォークはおおむね半年ごとのペースで、2029年までに7回を想定している。ただし、AI主導の開発や形式検証が進めば、スケジュール短縮の可能性もあるとされる。
|文・編集:Shoko Galaviz
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