● 12月小売売上の下振れにより、米国経済は消費主導の成長が鈍化する局面に入りつつある。
● Coinbase Premiumはマイナス圏で推移しており、米国現物需要は依然として弱い。
● 現時点のビットコインは、マクロ減速下で需給を確認する調整フェーズにある。
12月の米国小売売上高は、コア指標およびリテール・コントロールグループともに市場予想を下回った。景気の屋台骨である個人消費に明確な減速シグナルが出始めた形であり、短期的なノイズというより、景気循環の転換点を示唆するデータとして受け止める必要がある。
現在のビットコイン市場は、「弱気相場の中で戻りを試す調整フェーズ」に位置づけられる。方向性としては、現時点では弱気が条件付きで優勢だが、金融条件やフローの変化次第で評価が揺れやすい局面にある。
マクロ環境を整理すると、消費と賃金の両面で減速が進んでいる。小売売上の下振れは、実体経済における需要の鈍化を示すだけでなく、企業売上や雇用への波及リスクを内包する。加えて、雇用コスト指数(ECI)も市場予想を下回り、賃金インフレ圧力は低下基調にある。これはFRBがインフレ再燃よりも景気悪化を意識しやすくなる材料である一方、リスク資産にとっては「成長減速下での調整圧力」を意味する。
製造業雇用に目を向けると、長期的な減少傾向が続いており、景気循環に敏感なセクターではすでに後退的な状態が観測される。消費・賃金・製造業の組み合わせから見た米国経済は、「ディスインフレと成長減速が同時進行する局面」に入りつつあると評価できる。
このマクロ環境下でのビットコインは、株式市場と同様に短期的なリスクオフの影響を受けやすい。一方で、将来的な金融緩和期待が意識される局面では、反発が生じやすい構造も併せ持つ。そのため重要なのは、反発の「質」を見極めることである。
ここで注目したいのが、Coinbase Premium Gapの動向だ。添付チャートが示す通り、2025年後半以降、同指標は持続的にマイナス圏で推移している。これは米国投資家の現物需要が弱く、価格変動が主にデリバティブ主導で起きている可能性を示唆する。特に直近の反発局面でもプレミアムの改善は限定的であり、現物買いが本格的に戻ったとは言い難い。
過去の強い上昇トレンド初動では、Coinbase Premiumがプラス圏で安定的に推移し、米国現物需要が価格形成を主導していた。現在の構造はそれと整合的ではなく、需給面では依然として検証フェーズにある。
反対シナリオとしては、金融条件の想定以上の緩和や、ETFフローの明確な改善により、Coinbase Premiumがプラス圏に定着するケースが挙げられる。この場合、現在の弱気寄り評価は見直す必要がある。
現時点では、マクロ減速と現物需要の弱さが同時に存在する「需給の再確認フェーズ」がベースシナリオである。ただし、米国現物需要を示す指標が改善する場合、この見方は修正される可能性がある。
オンチェーン指標の見方
Coinbase Premium Gap:米国向け現物需要の強弱を測る指標で、Coinbaseと他取引所の価格差を示す。プラス圏は米国投資家の現物買いが優勢、マイナス圏は現物需要の弱さや売り圧力を示唆する。トレンド転換局面では、この指標が持続的にどちらに定着するかが重要となる。

デジタル通貨カンファレンス
登録無料
