暗号資産はなぜ下落しているのか:Bitwise

暗号資産(仮想通貨)市場は大きな調整局面を迎えている。

ビットコイン(BTC)は急落し、わずか4カ月前に記録した史上最高値と比べると約半値水準にとどまっている。この急変を前に、多くの投資家が同じ疑問を抱いている。「なぜ下がっているのか」「さらに下がるのか」「そして、いつ底を打つのか」。

暗号資産運用会社Bitwise(ビットワイズ)の最高投資責任者(CIO)であるMatt Hougan(マット・ホーガン)氏は、こうした問いに対し、市場構造と投資家心理の両面から冷静な分析を示している

なぜ市場は下落しているのか

ホーガン氏はまず、「暗号資産の下落に単一の原因はない」と強調する。市場は常に複数の要因が絡み合って動いており、今回の下落も例外ではないという。そのうえで、特に影響が大きいと考えられる6つの要因を挙げている。

① 4年サイクルを先回りする売り

暗号資産市場は、歴史的に「4年サイクル」を描いてきた。数年間の上昇相場の後に大きな調整が訪れるというパターンだ。これを意識した長期投資家の一部が、サイクルの再来を警戒し、利益確定の売りに動いた。ホーガン氏は、昨年だけで1000億ドル(約15兆5000億円、1ドル=155円換算)を超える規模のビットコインが売却された可能性があると推計している。

② 注目資金の流出

かつて暗号資産は、市場で最も刺激的で変動性の高い投資対象だった。しかし現在、その注目はAI関連株や、最近では貴金属へと分散している。話題性に敏感な「アテンション投資家」の資金が一時的に暗号資産から離れたことも、下落圧力となった。

③ 大規模なレバレッジ清算

特定の日に発生した過去最大級のレバレッジ清算も、市場心理を冷やした。伝統的市場が閉まっている時間帯に暗号資産が売買の受け皿となり、急激な価格変動が連鎖的な清算を招いた。

④ 金融政策への懸念

米連邦準備制度理事会(FRB)議長人事をめぐる思惑も影響した。市場では、金融引き締めに積極的と見られる人物が選ばれる可能性が意識され、リスク資産全体が売られやすくなった。

⑤ 量子コンピュータへの不安

ビットコインの将来に関して、量子コンピュータが暗号技術を脅かすのではないかという懸念が再燃している。ホーガン氏自身は「解決可能な長期課題」と見ているが、明確な対応策が示されるまで、慎重姿勢を崩さない投資家も多い。

⑥ マクロ環境のリスクオフ

暗号資産だけでなく、金や株式といった他の資産も同時に下落しており、広範なリスク回避ムードが市場全体を覆っている。ただし、ホーガン氏は、「悪いニュースの多くは既に価格に織り込まれているように感じられる」と指摘している。

さらに下がる可能性はあるのか

結論から言えば、「可能性はある」。過去の弱気相場では、ビットコインは80%以上下落した例もある。現在の下落率は、それらと比べればまだ浅い。ただしホーガン氏は、暗号資産が以前より成熟した資産クラスになった点を強調し、「過去と同規模の暴落が再現される可能性は低い」との見方を示す。それでも、短期的にもう一段の調整があっても不思議ではないという。

底打ちはいつか

最も重要なのは、この問いだ。ホーガン氏は、2018年や2022年の弱気相場を振り返り、「当時の不安感は今と非常によく似ている」と語る。結果的に、それらの局面は長期投資家にとって絶好の仕込み時となった。

現在も、暗号資産を取り巻くファンダメンタルズは崩れていない。世界のデジタル化は進み、非法定通貨への需要は高まっている。規制整備は前進し、ステーブルコインやトークン化といった新分野も拡大している。予測市場やAIと金融を組み合わせた新しいユースケースも登場している。

価格だけが、こうした進展を反映していない状態だという。弱気相場の終わりは、多くの場合「興奮」ではなく「消耗」によって訪れる。時間が最大の触媒になることも多い。

加えて、規制法案の進展、金融市場のリスクオン回帰、量子問題への具体的対応、利下げ期待の高まり、AI関連の技術革新などが、回復の引き金になる可能性がある。

|文・編集:Shoko Galaviz
|画像:Shutterstock

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