トランプ大統領、FRB議長にケビン・ウォーシュ氏を指名──市場はドル高・ビットコイン安で反応

ドナルド・トランプ米大統領は、米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長にKevin Warsh(ケビン・ウォーシュ)氏を指名した

発表はソーシャルメディア「Truth Social(トゥルース・ソーシャル)」への投稿を通じて行われ、現職のジェローム・パウエル議長の任期が5月に終了するタイミングで交代する見通しとなる。ただし、ウォーシュ氏が正式に就任するには、上院承認が必要となる。

ウォーシュ氏は2006年から2011年までFRB理事を務め、歴代で最年少の理事の一人として知られる。その後は、フーバー研究所のフェロー、スタンフォード大学経営大学院の講師、さらにStanley Druckenmiller(スタンリー・ドラッケンミラー)氏と共にDuquesne Family Office(デュケイン・ファミリー・オフィス)のパートナーを務めてきた。以前はMorgan Stanley(モルガン・スタンレー)で銀行業務にも携わっており、米国の金融政策分野では広く知られた存在だ。

今回の指名は、発表前から市場の注目を集めていた。予測市場では、指名発表直前にウォーシュ氏の就任確率が急上昇しており、Polymarket(ポリマーケット)では95%、Kalshi(カルシ)では96%に達していたとされる。

指名観測が強まった局面では、ビットコイン(BTC)価格が一時的に約8万1000ドル近辺まで下落した。一方で、正式発表直後にはビットコインが短時間ながら0.7%上昇し、その後は約8万2600ドル水準へ戻った。

ウォーシュ氏は暗号資産(仮想通貨)分野とも一定の関係を持つ。過去には、アルゴリズム型ステーブルコインを掲げたプロジェクトBasisへの投資に関与したほか、暗号資産・ブロックチェーン分野に投資するベンチャーキャピタルElectric Capital(エレクトリック・キャピタル)のアドバイザーを務めた。また、暗号資産インデックス運用会社Bitwise(ビットワイズ)とも関係を持っていたとされる。

同氏のビットコインに対する姿勢は、完全な支持でも否定でもない「中間的」なものとみられている。過去のイベントでは、ビットコインが金融政策の誤りを示す指標として機能する可能性に言及しつつ、ドルの代替にはならないとの見解を示した。ビットコインを「政策の正否を監視する存在」と表現したこともある。

一方で、中央銀行デジタル通貨(CBDC)については一定の支持を示してきた経緯もあり、これはCBDC導入に反対姿勢を示してきたトランプ大統領の方針とは必ずしも一致しない可能性もある。

金融政策面では、ウォーシュ氏は一般的に「インフレ警戒派(タカ派)」と見られている。FRB在任中は、景気が不安定な局面でもインフレリスクを重視する姿勢を繰り返し示してきたとされる。このため、一部の市場参加者は、同氏の指名がビットコインなどリスク資産にとってはネガティブ要因になり得ると見ている。実質金利が高止まりする可能性があるためだ。

ただし近年のウォーシュ氏は、FRBの枠組み改革を主張するなど、単純な金融引き締め論者とは異なる側面も見せている。FRBと財務省の関係見直しや、量的緩和がウォール街に偏った利益をもたらしたとの批判を展開してきた。また、人工知能による生産性向上がインフレ抑制要因になる可能性を指摘し、特定条件下では利下げを支持する余地も示している。

こうした姿勢について、一部の市場関係者は「元インフレ警戒派が利下げを主張する場合、強い説得力を持つ可能性がある」と評価している。

今回の指名は、数週間にわたる候補者選定の末に決定された。最終候補には、国家経済会議(NEC)のKevin Hassett(ケビン・ハセット)委員長、FRB理事のChristopher Waller(クリストファー・ウォラー)氏、BlackRock(ブラックロック)の債券部門責任者Rick Rieder(リック・リーダー)氏などが含まれていたとされる。予測市場では一時、リーダー氏が有力視されていたが、発表直前にウォーシュ氏へと大きく傾いた。

|文・編集:Shoko Galaviz
|画像:Shutterstock

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