イギリスの銀行の反暗号資産の姿勢は強まっている:業界団体が報告書を発表

イギリス国内で暗号資産(仮想通貨)産業が成長する一方、銀行側の「デバンキング(銀行サービス拒否)」の傾向が強まっていることが、業界の報告書で公表された。

1月にUK Cryptoasset Business Council(UKCBC:イギリス暗号資産ビジネス評議会)がまとめた報告書「Locked Out: Debanking the UK’s Digital Asset Economy」は、イギリスの銀行を始めとする伝統的金融機関が暗号資産関連企業に対して送金ブロックや遅延措置を多用している実態を明らかにした。

この報告書は2026年1月時点の状況をもとに、イギリス国内の大手暗号資産取引所10社を対象に実施した調査結果を取りまとめたものだ。銀行が顧客の取引所への送金やカード決済を制限、遅延、時には全面的に拒否しているケースが頻発しているとしており、回答した取引所の約80%が過去12カ月でこうした顧客トラブルが増加したと報告している。

銀行が暗号資産企業をブロックする主な理由として、金融犯罪対策やマネーロンダリング防止(AML)を挙げているが、UKCBCはほとんどすべての銀行がリスクの大小に関わらず一律の制限を適用している点を問題視している。金融行動監視機構(FCA)に登録された企業であっても例外ではなく、銀行側の対応は透明性を欠いており、具体的な根拠の説明がないまま取引が拒否されるケースが多いという。

その背景には、イギリス政府が暗号資産規制の法整備を進める一方で、銀行が依然としてリスク回避的な姿勢を崩さない実態がある。2027年10月には政府による完全な認可制度が開始される見通しだが、現時点では規制と実務のズレが残る状況だ。

FCAは暗号資産企業へのアクセスと安全性の両立を図るべく対話を呼びかけているものの、銀行側の対応が成長阻害要因になっているとの不満が強まっている。報告書では今後、銀行が個別のリスク評価に基づいた対応を行い、FCA登録企業への不当な制限を撤廃するべきだと提言しているが、現状では銀行側の強硬姿勢は、イギリスがグローバルな暗号資産ハブを目指す上での課題となっている。

|文・編集:井上俊彦
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