ブロックチェーン金融を手がける米Figure(フィギュア)は1月14日、On-chain Public Equity Network(OPEN)の立ち上げを発表した。
OPENは、企業の株式をパブリックブロックチェーン上に直接登録し、取引までをオンチェーンで完結させる新しい公開株式ネットワークだ。基盤には、フィギュアがこれまでに200億ドル(約3兆1600億円、1ドル=158円換算)超の融資実績を持つProvenance Blockchainが採用されている。
最大の特徴は、既存の「株式のトークン化」とは一線を画している点にある。OPENで扱われる株式は、DTCC(米証券集中保管機関)で管理される既存証券のコピーやラップド・トークンではなく、株式そのものがブロックチェーン上で登録・管理される。フィギュアはこれにより、従来の中央集権型株式市場が抱えてきたコストや非効率性を根本から見直す狙いだ。
株式取引の中核を担ってきた仲介構造を解体
OPEN上の株式は、フィギュアが運営する代替取引システム(ATS)上で指値注文板(リミット・オーダーブック)方式により取引される。これにより、時間帯に制限された従来の株式市場とは異なり、将来的には連続取引への道も開かれる。
さらに注目されるのが、株主が自身の株式を使って貸し借りを行える仕組みだ。フィギュアの分散型金融(DeFi)プロトコル「Democratized Prime」を利用することで、株式を担保に資金を借りたり、株を貸し出して利回りを得たりできる。これまでプライムブローカーが担ってきた役割を、スマートコントラクトによって代替する形となる。
フィギュアのエグゼクティブ・チェアマンであるMike Cagney(マイク・キャグニー)氏は、次のように述べている。
「OPENは株式取引を再発明する。中央集権的な既存モデルと比べて得られるメリットは非常に大きく、企業にはOPENを選ぶ動機があり、投資家はそれを要求するようになるだろう。私たちはすでに、200億ドル以上のオンチェーン・クレジットを実現してきたが、今度は公開株式をProvenance Blockchainに持ち込む」
コスト削減と透明性がもたらす構造的メリット
OPENは、発行企業と投資家の双方にとって複数の利点を提供する。
ブロックチェーン上での株式登録により、DTCCが要求してきた高額な担保や資本コストを削減できるほか、自己保管・自己決済型のATSによってカストディアンや仲介ブローカーへの依存も大幅に減る。
また、DeFiを活用したポートフォリオ・マージンにより、暗号資産(仮想通貨)を含む複数資産を横断した担保設計が可能になり、より高いレバレッジ効率が期待される。
株式貸借についても、従来の不透明な「ロケート(確認)」プロセスを排し、オーダーブックを通じて需給と金利を可視化することで、収益がプライムブローカーではなく株主自身に還元される設計となっている。
Figure自身が最初の上場企業に
フィギュアは、自社がOPENを利用する最初の発行体になる予定だ。2025年11月には、OPENを用いた非希薄化型のセカンダリー株式公募に関する登録届出書を提出している。
同社は、OPEN上の株式とナスダック上場株式との双方向交換(1対1の交換性)もサポートする方針で、これにより両市場間の流動性は実質的に統合される。フィギュアは、この仕組みをOPENでのすべての発行企業に提供する計画だ。
大手プレイヤーも参加、オンチェーン株式の現実味
市場形成の面では、Jump Trading(ジャンプ・トレーディング)がマーケットメイカーとしてオンボーディング準備を開始しており、BitGo(ビットゴー)は必要に応じて適格カストディサービスを提供する。
ビットゴーのCEO兼共同創業者であるMike Belshe(マイク・ベルシェ)氏は、次のようにコメントしている。
「業界全体で、より透明でブロックチェーン・ネイティブな市場構造への移行が進んでいる。フィギュアのOPENは、デジタル資産市場の次なる進化を示すものであり、私たちはその安全でスケーラブルな運用を支えるインフラを提供できることを誇りに思う」
フィギュアは現在、OPENの普及を専門に担う事業開発チームを立ち上げており、すでに次のオンチェーン株式発行に関する初のコミットメントも獲得しているという。ブロックチェーン・ネイティブ企業やDAT(デジタル資産トレジャリー)企業を中心に、今後さらなる参加が見込まれている。
|文・編集:Shoko Galaviz
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