スイスとシンガポールに拠点を置くデジタル資産銀行Sygnum(シグナム)は18日、同社のオフエクスチェンジ・カストディ(取引所外保管)プラットフォーム「Sygnum Protect」の預かり資産が10億ドル(約1580億円、1ドル158円換算)を突破したと発表した。
オフエクスチェンジ・カストディとは、資産を取引所に直接預け入れるのではなく、独立した第三者機関に保管したまま取引を行う仕組み。取引所のハッキングや破綻といったリスクから資産を隔離して運用できることが特徴だ。
リリースによると、同プラットフォームは2025年を通じて前年比900%増という成長を記録。2026年に入っても勢いは衰えず、1月だけでさらに30%の成長を見せているという。同社はこうした成長の背景として、暗号資産(仮想通貨)市場のボラティリティを商機と捉える伝統的金融(TradFi)のマーケットメイカーやヘッジファンドの参入加速を挙げている。
これまで、機関投資家にとって取引所へ直接資産を預け入れることに伴うカウンターパーティ・リスクは、市場参入における大きな障壁となっていた。
同プラットフォームは、顧客資産を銀行のバランスシートから完全に切り離された分別管理口座で保持するオフバランス処理を導入。スイスの規制に準拠した銀行グレードのセキュリティを提供することで、課題解決につなげているという。
また、非銀行系のカストディソリューションとは異なり、デジタル資産やステーブルコインだけでなく、利回りを生む米国債を担保として受け入れている点も特徴の一つ。機関投資家が資産の安全性を確保しながら、米国債の利回りで保管コストを相殺し、効率的な証拠金管理を行うことが可能になるとしている。
同プラットフォームは2024年4月、Binanceとの提携によりローンチした。2025年にはDeribitやBybitといった主要取引所が次々と参加。現在、プラットフォームを利用する取引所は世界の現物およびデリバティブ取引高の50%以上を占めており、野村ホールディングスのデジタル資産子会社であるLaser Digitalなどもアクティブユーザーとして名を連ねている。
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Sygnumのチーフ・プロダクト・オフィサーのドミニク・ローベルガー(Dominic Lohberger)氏は、過去のプラットフォーム破綻やセキュリティ事件を受け、投資家が資産の保管場所を厳格に選別する「信頼への逃避(Flight-to-trust)」が加速しているとコメントしている。
同社は暗号資産市場の成熟に伴い、取引機能の分離や厳格なリスク管理といった伝統的金融のスタンダードが業界のベストプラクティスになりつつあるとの見方を示しており、今後もデジタル資産経済と伝統的金融を繋ぐゲートウェイとしての役割を拡大していく方針だ。
|文:橋本祐樹
|画像:Shutterstock
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