英国政府は、デジタル国債「Digital Gilt Instrument(DIGIT)」のパイロット発行に向け、HSBCをプラットフォーム提供者として正式に選定したと発表した。今回の決定は、競争入札プロセスを経て行われたもので、英国の「ホールセール金融市場デジタル戦略」における重要な柱と位置づけられている。
DIGITは、分散型台帳技術(DLT)を活用した英国債の発行実証プロジェクトであり、英国が世界有数の金融センターとしての地位を維持・強化することを目的としている。
デジタル化で効率向上とコスト削減を目指す
英財務省のルーシー・リグビー経済担当政務次官は、DIGITの狙いについて「英国がこの技術をどのように活用できるかを理解し、企業の効率向上とコスト削減を実現するための取り組みだ」と説明した。
また、今回のプロジェクトは「英国を投資先としてより魅力的にし、グローバル資本市場の最前線に立ち続けるために必要な金融イノベーション」であると強調している。
政府は昨年、DIGITの設計方針として、幅広い市場参加者がアクセス可能であることや、流通市場(二次市場)の発展を支援することなどを掲げていた。現在はHSBCと連携しつつ、これらの設計要件を実現するため追加のサプライヤーとも積極的に協議を進めている。
HSBCのデジタル資産基盤を活用
今回の入札は2025年10月に公表された招請状に基づき実施され、評価基準に沿った審査の結果、HSBCの提案が選定された。
HSBCは、自社のデジタル資産プラットフォーム「HSBC Orion」を通じてDIGITパイロットを支援する。同行のPatrick George(パトリック・ジョージ)グローバル市場・証券サービス部門責任者は、英国国債市場の発展と市場革新、さらには英国経済全体の成長を支える機会であると述べ、今回の選定を歓迎している。
政府はまた、DIGITパイロットに関する法務サービス提供者としてAshurst LLP(アシャースト)を任命した。アシャーストのデジタル資産チームは、DIGIT立ち上げ準備において法的助言を行う。
同社のデジタル資産責任者Etay Katz(エタイ・カッツ)氏は、今回の案件を英国資本市場にとって画期的な取引と位置づけ、HSBCおよび財務省と連携しながらプロジェクトを支援する意向を示している。
DIGITパイロットの目的と特徴
DIGITは、英国政府がDLTをソブリン債発行プロセスにどのように適用できるかを検証する実証事業である。パイロットの主な目的は、まず、DLTが英国国債発行プロセスにどのような効率化や革新をもたらすかを検証すること。
次に、英国国内におけるDLTインフラの発展を促進し、金融市場全体での技術導入を加速させること。
設計面では、DIGITはデジタルネイティブな短期債として発行される予定であり、「Digital Securities Sandbox(DSS)」内で運営されるプラットフォーム上で発行される。決済はオンチェーンで実行され、政府の主要な債務管理プログラムとは独立した形で運用される。
|文・編集:Shoko Galaviz
|画像:Shutterstock
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