Ripple(リップル)は、サウジアラビアの大手銀行・Riyad Bank(リヤド銀行)のイノベーション部門「Jeel」と戦略的提携を締結した。1月26日、Rippleの中東・アフリカ地域マネージングディレクターであるReece Merrick(リース・メリック)氏が自身のSNSを通じて明らかにした。
今回の提携は、両者がブロックチェーン技術を用いたクロスボーダー決済や暗号資産(仮想通貨)のカストディ、現実資産(RWA)のトークン化などのソリューションを共同で検証・開発するもので、Jeelが提供する規制対応のサンドボックス環境で実証実験を進める計画だ。これにより、既存の金融インフラにブロックチェーンを安全かつ効率的に統合する道筋が模索される。
この動きは、サウジアラビアが掲げる経済改革戦略「Vision 2030」と深く関連する。Vision 2030は、石油依存経済からの脱却とデジタル金融・フィンテック分野の育成を柱に据えた長期計画であり、政府・金融機関がデジタル技術の導入を加速している。今回の提携も、この戦略に沿った金融近代化の一環と位置づけられている。
提携相手のRiyad Bankは1957年設立のサウジ国内でも最大級の商業銀行で、総資産規模が数千億ドルに上る主要金融機関だ。Jeelは同行の技術・イノベーション部門として、ブロックチェーンやデジタル決済の実証・開発を担っている
中東におけるブロックチェーン活用では、アラブ首長国連邦(UAE)が明確な規制整備と積極的な誘致策を背景に暗号資産のハブとして先行している。UAEのドバイやアブダビでは取引所・カストディ・ステーブルコイン発行に対応する法制度が整備され、多くのグローバル企業が参入している点が象徴的だ。対してサウジアラビアはこれまではブロックチェーンに慎重だったが、Vision 2030を通じて導入を段階的に進めており、今回のリップルとの協業は大きな前進といえるだろう。
|文・編集:井上俊彦
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