【イーサリアム価格分析】トム・リー氏のBitmine、追加ETH購入に「80%超」の承認──ダボス会議パネリストはドルリスクを警戒

● 世界経済フォーラム(WEF)、通称ダボス会議での発言を受けてリスク回避の流れが強まり、イーサリアム(ETH)価格は7%下落、デリバティブ市場では大規模な清算が発生した。
● Bitmineは新たなETH積み増しを行ったが、短期的な市場センチメントの安定には至らなかった。
● バリデーター参加待ちはゼロに低下し、価格低迷にもかかわらず、ステーキングの混雑が緩和していることを示している。

WEFパネリストがドル危機に言及──イーサリアム・トレーダーが最大の敗者に

イーサリアム価格は1月20日、約7%下落し、2900ドル水準へと近づいた。ダボスで世界経済フォーラム(WEF)が開催されるなか、世界的なリスク選好が後退した。WEFのパネルディスカッションでは、脱グローバル化、地政学的分断、米国主導の通貨体制に対する圧力の高まりが議論され、デジタル資産全体でボラティリティが増幅した。

トランプ政権からの発言も市場不安を強めた。ハワード・ラトニック商務長官は「グローバリゼーションは西側にとって失敗だった」と述べ、貿易の分断や資本規制に対する投資家の懸念を強めた。

さらに、著名ヘッジファンド創業者のレイ・ダリオ氏は「通貨秩序は崩壊しつつある」と警告し、中央銀行や政府系ファンドが防御的な姿勢に転じるなかで、金(ゴールド)がアウトパフォームしている点を指摘した。

暗号資産市場はこうした発言に即座に反応した。CoinGlassのデータによると、過去24時間で16万5128人超のトレーダーが清算され、損失総額は7億0800万ドルに達した。

〈Coinglass〉

イーサリアムの強気(ロング)トレーダーが最も大きな打撃を受け、2億8200万ドル超のロングポジションが消失。ビットコインのロング清算額である2億4300万ドルを上回った。最大の単一清算はHyperliquidで記録され、680万ドル相当のETH-USDポジションが強制的にクローズされた。

下落にもかかわらず、トム・リー氏が支援するBitmineは、継続的な積み増しを行った。20日の公式プレスリリースで、リー氏は同社が過去1週間で3万5268ETHを取得し、イーサリアム保有総量が420万超に達したことを明らかにした。

Bitmineのポートフォリオには、193BTC、Eightco Holdingsへの2200万ドルの株式持分、そして9億7900万ドルの現金が含まれている。株主はまた、ETH購入を加速させる提案を81%の賛成多数で承認した。

〈ValidatorQueue.com〉

しかし、Bitmineによる強気の発表は、日中の信頼回復にはつながらなかった。マクロ要因による弱気材料が市場を支配し、イーサリアムは6.2%安と、12月1日以来の大幅な日次下落を記録した。

注目すべき点として、イーサリアムのバリデーター参加待ち(エントリー)キューは1月19日にゼロへと低下した。これは2025年7月のFusakaハードフォーク以来、初めての水準。世界的な市場リスクが高まるなかで、主要保有者が売却を急ぐのではなく、利回り獲得によって損失を緩和しようとしている可能性を示唆している。

1月20日には64のウォレットが退出(エグジット)キューに加わったが、利回り獲得を目指すウォレットは273万8350に上り、これは今後のセッションでETH価格の安定化につながる可能性がある。

イーサリアム価格見通し:主要トレンド支持線を割り込み、弱気派が主導権

イーサリアムの日足チャートでは、短期的な構造が明確に崩れ、価格はケルトナー・チャネルの下限である2930ドル付近まで下落した。

モメンタム指標も慎重な見通しを裏付けている。14日RSIは40近辺まで低下し、シグナル平均を下回った。これは買い圧力の弱まりを示すが、極端な売られ過ぎには至っておらず、反発が出る前にさらなる下落余地が残っていることを示唆する。

〈Tradingview〉

下値では、2930ドル付近が直近のサポートとなる。この水準を日足終値で明確に下回れば、心理的節目である2800ドル、その下では、11月下旬に買い手が強く防衛した2700ドル近辺が視野に入る。

一方、3090ドルを上回る回復は、短期的な安定化の最初の兆しとなるが、トレンド全体の反転には、3300ドル超への持続的な回復が必要となる。

この局面では、スーパートレンド指標は3440ドル近辺で明確に弱気へと転換している。この水準は、上側ケルトナー・バンドの3406ドル付近と重なり、主要な上値抵抗として機能している。