Digital Asset(デジタル・アセット)と、J.P. Morgan(JPモルガン)のブロックチェーン事業部門であるKinexys(キネクシス)は1月7日、米ドル建てデポジットトークン「JPM Coin(JPMコイン:JPMD)」を、プライバシー機能を備えたブロックチェーン「Canton Network(カントン・ネットワーク)」上でネイティブに発行・利用可能とすることを目的とした協業の意向を発表した。
カントン・ネットワークは、金融機関向けに設計されたパブリックかつパーミッションレスなブロックチェーンで、プライバシー、コンプライアンス、相互運用性を同時に実現する点が特徴だ。今回の取り組みは、既存の金融インフラとブロックチェーン技術を本格的に接続する重要な一歩と位置付けられている。
銀行発行のデジタルマネー「JPM Coin」とは
JPMコインは、キネクシスが提供する、銀行が発行する初の米ドル建てデポジットトークンである。JPモルガンに預けられた米ドル預金をデジタル形式で表現し、パブリック分散型台帳上での決済を可能にする。
これにより、機関投資家や企業は、従来の銀行預金と同等の安全性を維持しながら、24時間365日、ほぼリアルタイムでの資金移動を実現できる。デジタルネイティブ企業だけでなく、既存の金融機関や事業会社からも、より迅速かつ効率的な決済手段として注目を集めている。
Canton Network上でのネイティブ提供がもたらす価値
今回、JPMコインがカントン・ネットワーク上でネイティブに利用可能になることで、カントンを利用する金融機関は、JPMDの発行、送金、償還を同一のエコシステム内でほぼ即時に行えるようになる。これにより、異なる金融市場やアプリケーション間での資金移動が、よりシームレスかつ効率的になると期待されている。
カントン・ネットワークの開発元であるデジタル・アセットの共同創業者兼CEOのYuval Rooz(ユヴァル・ルーズ)氏は、次のように述べている。
「この協業は、市場のスピードで動く規制下デジタルキャッシュというビジョンを現実のものにする。JPMコインをカントンにネイティブ実装することで、プライバシーやコンプライアンス、信頼性を維持しながら、伝統的金融とデジタルインフラを橋渡しする新しい金融レールの基盤を築いていく」。
また、キネクシスのグローバル共同責任者であるNaveen Mallela(ナヴィーン・マレラ)氏も、次のようにコメントしている。
「この協業は、パブリックブロックチェーン上での取引という点で業界を前進させるものだ。JPMコインは、銀行発行預金と決済の安全性に、24時間稼働するブロックチェーン取引のスピードと革新性を融合させている。カントン上で提供することで、さらなる効率化と流動性の解放が可能になる」。
2026年に向けた段階的統合
両社は、2026年にかけて段階的に統合を進める計画だ。初期段階では、カントン・ネットワーク上でJPMコインの発行、送金、即時償還を支える技術的・業務的フレームワークの構築に注力する。
さらに将来的には、JPモルガンのブロックチェーン預金口座など、キネクシスが提供する他のプロダクトとの統合も検討されており、カントンエコシステムに参加する金融機関が利用できる機能の拡張が見込まれている。
伝統的金融とブロックチェーンの融合点としてのCanton
カントン・ネットワークは、金融機関が求める厳格な規制対応とプライバシー要件を満たしつつ、パブリックブロックチェーンの相互運用性と拡張性を兼ね備える点で、他のブロックチェーンとは一線を画す存在だ。カントン財団のガバナンスのもと、グローバルな金融機関が参加し、複数の資産クラスにまたがるリアルタイムな決済と同期を可能にしている。
|文・編集:Shoko Galaviz
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