「トークン化預金」でのセキュリティ・トークン決済を検証──二次流通の「壁」を打破できるか

SBI証券、大和証券、SBI新生銀行、BOOSTRY、大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)、ディーカレットDCPは12月26日、トークン化預金「DCJPY」を利用したセキュリティ・トークン(ST)のDVP決済(証券の受け渡しとお金の支払いを同時に行うこと)に関する協業を開始したと発表した。STの二次市場(流通市場)の発展に向けた新たな決済スキームを実現することが狙いだ。

またリリースによると、このプロジェクトの関係者は、2025年8月に検証用データを用いたSTとDCJPYのDVP決済の検証を実施しており、システムイメージと業務フローの整理を概ね完了しているという。今後、STおよびDCJPYの実発行による検証に取り組んでいく。

国内ST市場は拡大を続けているものの、STの移転がブロックチェーン上で即時に行われることに対し、資金決済には依然として銀行振込が使われていた。今回の取り組みは、STと資金を同時に決済するDVPを実現することで、決済リスクや事務負担の低減を目指す。

また、同様の決済スキームが、将来的にSTの一時流通(証券会社での販売)にも活用できれば、発行から流通までの一体化が進む可能性もある。

STの決済手段としては、ステーブルコインの活用も議論されている。リリースでは、銀行預金をトークン化した「トークン化預金」は、「会計処理方式など一般的な預金の性質を有している」ため、ST決済の「有力な選択肢」と考えられているとしている。

本プロジェクトでは、SBI新生銀行が、ディーカレットDCPが提供するプラットフォームを利用してDCJPYの発行・償却を行う。

実証後は、その結果をST市場参加者に周知し、ODXが運営するST流通市場「START」での活用を視野に、実用化に向けた検討を進めていく予定という。

|文:増田隆幸
|画像:リリースより