JPYCとJPYSCは“競合”なのか──円ステーブルコインをめぐる論点【編集長コラム・2日連続】

最近、NADA NEWSでは、円建てステーブルコイン「JPYSC」の記事が、改めて読まれている。2月末に公開した、SBIホールディングスとStartale Groupによる円ステーブルコイン構想の記事だ。

▶関連記事:SBIとStartale、円ステーブルコイン「JPYSC」発表──日本初の信託型、4〜6月の提供目指す

背景にはSNS上での議論の高まりがあるようだが、それだけでは説明しきれない関心の強さを感じる。円ステーブルコインをめぐる議論が、ひとつ次のフェーズに入りつつあるのかもしれない。

議論の焦点のひとつは、先行する「JPYC」と、SBIが発表した「JPYSC」の関係だろう。「競合になるのか」という問いだ。

確かに、その見方は間違ってはいない。円ステーブルコインとして、どちらが主流になるのかは、当然ながら注目される。

似ているのは名前、違うのは役割

JPYCとJPYSC。一文字違いで、ロゴも似ている。だが両者は設計思想も立ち位置も異なる。

JPYCは現状、資金移動型のスキームで発行されている。JPYCという名称は、JPY(日本円)とCoinの頭文字のCの組み合わせだが、Consumer(コンシューマー)のCも思い浮かぶ。考えすぎだろうか。

一方のJPYSCは、信託型という枠組みで発行され、機関投資家と国際決済での利用を目指している。

ちなみに、JPYCもビジネスシーンでの利用促進を目指し、またJPYC(信託型)の発行も目指しているが、ここではその話は一旦、置いておく。

競合ではなく、立ち位置の違い

つまり、両者は同じ土俵に立っているわけではない。

実際、SBIグループを率いる北尾氏は、NADA NEWSとのインタビューの中で、JPYCの支援も考え得るとも語っており、単純な対立構造ではないことを感じさせた。

JPYCとJPYSCは、名前が似ているだけでなく、「日本円をオンチェーン化する」という同じ方向を向いている。

であれば、競合ではなく、棲み分けという流れの中で、“兄弟”のような関係になる可能性もあり得る。もちろん、世の中、中の良い兄弟ばかりではないが。

もうひとつの動き──三菱商事とドル送金

ここで、もうひとつ気になる動きがある。

三菱商事が、2026年度にも、JPモルガンのブロックチェーン基盤を活用し、ドル建ての国際送金を開始する方向で検討しているという報道だ。

当初は、ブロックチェーンを使ったドル(USD)送金だが、その先には、JPモルガンが展開するトークン化預金の活用も視野に入るだろう。

トークン化預金ならば、単純なドル送金では実現できない、プログラマブルな活用が可能になる。

ステーブルコイン vs トークン化預金

見えてくるのは「ステーブルコイン vs トークン化預金」というもうひとつ大きなレイヤーでの競争軸だ。また日本円かドルか、の議論も絡む。

さらに三菱商事は、3メガバンクによるステーブルコイン共同発行構想との関係も報じられている。グローバル決済への活用だ。

一方で「3メガバンク・ステーブルコイン」については、三井住友フィナンシャルグループの磯和啓雄氏がイベントで「遅々として進んでいる」と語っている。

三菱商事とJPモルガンとの取り組みは、実際には以前から進んでいたのだろうが、外から見ると、三菱商事が独自の選択に踏み出したようにも見える。

いや、むしろ、グローバル規模でビジネスを展開する企業として、CMS(キャッシュマネジメントシステム)への利用など、広く「デジタル通貨」の活用方法を模索していると見るべきか。

JPYCか、JPYSCか。あるいはステーブルコインか、トークン化預金か。日本円建てか、ドル建てか──。期せずして、連携したテーマのコラムを、2日連続で公開することになった。

関連記事:「トークン化=効率化」は誤解だ──IMFが示した金融の再設計【編集長コラム】

誰が決済インフラを握るのか。どのネットワークが使われるのか。その選択が、デジタル通貨の使われ方さえ規定していく。競争は、すでに始まっている。

PR

ボーナスで始めるのにおすすめな国内暗号資産取引所3選

取引所名特徴

Coincheck
500円の少額投資から試せる!】
国内の暗号資産アプリダウンロード数.No1
銘柄数も最大級 、手数料も安い
無料で口座開設する

bitbank
【たくさんの銘柄で取引する人向け】
◆40種類以上の銘柄を用意
◆1万円以上の入金で現金1,000円獲得
無料で口座開設する

bitFlyer
初心者にもおすすめ】
◆国内最大級の取引量
◆トップレベルのセキュリティ意識を持つ
無料で口座開設する
Sponsored
「価値の流れは、必ず変わる」大手コンサルからWeb3へ──HashPort吉田世博氏が見据える次の金融インフラの姿とは
ブロックチェーンは「価値の流れ」をどう書き換えるのか。万博デジタルウォレットを手掛ける吉田氏が語る、2026年の金融インフラ。
提供:インベスコ・アセット・マネジメント株式会社