国際通貨基金(IMF)は4月2日、「トークン化された金融(Tokenized Finance)」と題した23ページの報告書を公開し、その可能性とリスクの両面を指摘した。
報告書は、金融資産や負債をプログラム可能な分散型台帳技術(DLT)で表現する「トークン化」が、金融システムのあり方を根本から変えつつあると指摘した。アトミック決済(資産と代金の即時同時受け渡し)やリアルタイムの流動性管理、コンプライアンスの自動埋め込みなど、従来の金融に存在する「摩擦」の解消や透明性向上に大きな可能性を秘めているとしている。
その一方で、適切な政策的枠組みが整備されない場合、トークン化は金融の不安定性をむしろ増幅させるリスクがあると警告している。
具体的なリスクとして報告書が挙げたのは、主に3点だ。まず、スマートコントラクトによる自動的な証拠金請求や担保執行が価格変動に機械的に反応し、景気循環を増幅させるプロシクリカリティの問題がある。次に、複数の管轄区域にまたがる共有台帳上で取引が実行されることで、従来の危機管理や破綻処理の枠組みが機能しなくなる恐れがある。さらに、プラットフォーム間の互換性がなければ流動性が分断し、クロスボーダー金融が複雑化するフラグメンテーション(断片化)リスクも存在する。
こうした問題への対処に向け、IMFは5つの政策柱を提示している。(1)安全な決済資産(卸売CBDC等)の整備、(2)「同じ活動・同じリスクには同じ規制を適用する」という原則に基づくグローバルな規制基準の適用、(3)トークン化資産の法的地位と決済最終性の明確化、(4)相互運用性の促進と国際協調、(5)24時間365日稼働する環境に対応した中央銀行の流動性・危機管理枠組みの刷新だ。
IMFは、技術そのものが未来を決定するのではなく、決済資産・ガバナンス・法的枠組み・国際協力に関する政策判断が、トークン化金融の行方を左右すると結論づけている。
|文・編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
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