デジタルアセットインフラを手がけるGincoは4月1日、経営体制の変更を発表した。副社長CROを務めていた坂根遼氏が代表取締役社長CEOに就任し、事業全体の執行を担う。
同社は今回の体制変更について、デジタルアセット関連事業の拡大に伴い、国内事業における意思決定と執行の強化を目的としたものと説明。あわせて執行役員体制を整備し、各領域における責任と権限の明確化を進めるとしている。
創業メンバーである森川夢佑斗氏、房安陽平氏、森下真敬氏の3名は引き続き取締役として関与し、事業推進および技術基盤の強化を担う。
坂根氏は就任にあたり、「暗号資産を取り巻く事業環境は、制度面・市場面の両面で大きく変化しており、事業者にはこれまで以上に高い水準の信頼性、継続性、専門性を備えた業務執行が求められていると認識しています」とコメントしている。
こうした発言の背景には、暗号資産市場を取り巻く環境変化がある。国内では規制整備が進み、機関投資家の参入も見据えられる中、サービス提供企業には従来以上のガバナンスや内部統制が求められている。
特に、ウォレットやカストディ、取引基盤などを担うインフラ企業にとっては、技術力に加え、組織体制やリスク管理能力そのものが競争力となりつつある。
インフラ企業に高まる「信頼性要求」
また、「信頼性要求」の高まりの背景には、国内で発生した大規模なセキュリティインシデントもある。2024年には、DMM Bitcoinから約482億円相当(当時)のビットコインが不正流出する事案が発生し、警察庁は北朝鮮系ハッカー集団による攻撃と特定した。
同事案では、外部委託先の従業員を起点とした侵害が指摘されており、当該委託先についてはGincoの従業員とする報道もある。ただし、暗号資産の管理主体やシステム構成が複層的であることから、責任の所在については一義的に整理されているわけではない。
Gincoは、秘密鍵をユーザー側で管理する非カストディ型の仕組みを採用するなど、技術的には一定の分離構造を前提としたサービスを提供している。一方で、クラウド環境や通信レイヤーを含めたシステム全体が攻撃対象となり得ることも指摘されており、インフラ企業に求められる責任範囲は拡張している。
今回の体制変更は、こうした環境の変化に対応し、単なるプロダクト提供企業から、より高い信頼性と継続性を備えた「金融インフラ企業」へと進化するための動きと位置づけられる。
技術だけではなく、ガバナンスや執行体制そのものが問われる時代に入った。GincoのCEO交代は、その変化を象徴する一例と言えそうだ。
|文:増田隆幸
|画像:同社ウェブサイト(キャプチャ)
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