● マイナーの売り圧は大きく低下し、強制売却フェーズは一巡の可能性
● ハッシュ価格は過去最低水準に低下し、採掘コストは約8万ドルと収益性は悪化
● ハッシュレートは上昇を続け、競争激化と大手集中が進行
● 市場は「底形成」と同時に「構造転換」が進む局面
足元のビットコイン市場では、マイナーの行動を巡る需給構造に重要な変化が見られている。まず注目すべきは、マイナーの売り圧力が顕著に低下している点である。オンチェーン指標である「Miner Selling Power」は直近で大きく低下しており、これは市場に対する供給圧力が弱まっていることを意味する。歴史的に見ても、マイナー売りの減少は底形成局面と重なることが多く、短期的にはポジティブなシグナルと捉えられる。
しかし、この動きを単純に強気材料として解釈するのは早計である。CoinSharesなどのデータによれば、2026年Q1におけるハッシュ価格は約28〜30ドルと過去最低水準まで低下する見込みであり、さらに2025年Q4時点でのビットコイン採掘コストは約8万ドルに達している。現在の価格水準を踏まえると、世界の15〜20%のマイニング設備が赤字で稼働している可能性があり、マイナーの収益性は明確に悪化している。
ここで重要なのは、売り圧低下の背景である。今回の局面では、「収益悪化による売却余力の低下」が一因となっている可能性がある。すなわち、マイナーは売りたくても売れない、あるいは売却を抑制せざるを得ない状況に置かれていると考えられる。この点は、従来の「利益確定による売り減少」とは質的に異なる。
さらに注目すべきは、こうした収益悪化にもかかわらず、ネットワークのハッシュレートが依然として上昇傾向にある点である。通常、価格下落や収益悪化が進めば、非効率なマイナーの撤退によってハッシュレートは低下する。しかし現在はその逆であり、競争はむしろ激化している。この背景には、大手マイナーによるシェア拡大や、AI・HPC(高性能計算)分野への転用を前提とした設備投資があると考えられる。実際、上場マイニング企業はすでに数百億ドル規模のAI関連契約を締結しており、将来的には収益の大半を非マイニング分野から得る可能性も指摘されている。
これらを総合すると、現在の市場は「供給圧力の低下」と「マイナー収益構造の変化」が同時に進行する、過渡的な局面にあるといえる。短期的には売り圧の減少が価格の下支えとなる一方で、中期的にはマイナーの淘汰と再編が進み、ネットワークはより大手主導の構造へと移行していく可能性が高い。
結論として、ビットコイン市場は単なる価格調整ではなく、「マイニング産業の再編」を伴う構造転換フェーズにある。供給面の改善は進んでいるが、持続的な上昇には新たな需要の回復が不可欠であり、ETFフローや現物需要の動向が今後の鍵を握る。
◆ショート動画 マイナー崩壊が意味するもの──ビットコインはすでに次の局面へ
https://youtube.com/shorts/uor7ctXLJLQ?feature=share
オンチェーン指標の見方
① Miner Selling Power(マイナー売り圧)
マイナーの売却圧力は直近で大きく低下し、供給圧が明確に弱まっている。これは強制的な売りやキャピチュレーションが一巡した可能性を示唆。過去の傾向では、この局面は底形成と重なりやすい。ただし今回は需要が弱く、「売り枯れだが上がらない」状態にある。

② Hashrate(ハッシュレート)
ハッシュレートは一貫して上昇しており、ネットワーク競争は激化。収益が悪化しているにも関わらず増加している点が特徴的。これは大手マイナーのシェア拡大や設備投資の継続を示唆。結果として、弱者淘汰と寡占化が進む構造転換局面にある。

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