Nasdaq(ナスダック)は、株式のトークン化を目的とした新しい設計「Equity Token Design(エクイティ・トークン・デザイン)」を発表し、暗号資産(仮想通貨)プラットフォームKraken(クラーケン)の親会社Payward(ペイワード)と提携すると発表した。両社は、規制された株式市場とブロックチェーン上の分散型金融(DeFi)ネットワークを接続する新たな市場インフラの開発を進める。
この取り組みは、株式をブロックチェーン上のトークンとして扱いながらも、既存の証券規制や株主権利を維持することを目的としている。ナスダックによると、この仕組みは企業の株主との関係や企業行動の管理を近代化し、グローバル市場へのアクセスを拡大する可能性がある。
発行企業中心のトークン化
ナスダックの設計は、株式トークン化において発行企業を中心に据える点が特徴だ。トークン化された株式であっても、企業のガバナンス権や株主権利、既存の市場規制の枠組みを維持する。
トークン化によって、代理による議決権行使や企業行動の処理、株主とのコミュニケーションといったプロセスの効率化が期待されている。
ナスダックのTal Cohen(タル・コーエン)社長は「トークン化は常時稼働する金融エコシステムを実現する可能性があり、投資家の市場アクセスや企業と株主の関係を変える」と述べた。また、公開企業が株式市場の中心であり続けることが重要だと強調している。
規制市場とブロックチェーンの橋渡し
今回の構想では、トークン化株式のブロックチェーン記録を企業の公式株主名簿に直接統合する仕組みが採用される。これにより、トークンの移転は株式そのものの移転と法的に同等の扱いとなる。
このアプローチにより、従来の株式市場が持つ価格発見機能、流動性、透明性、投資家保護を維持しながら、ブロックチェーン技術を活用した新たな取引形態を実現することを目指す。
ナスダックは2025年9月に米証券取引委員会(SEC)へトークン化証券に関する提案を提出しており、トークン化株式をナスダック市場で取引し、DTCC(米国証券決済機関)を通じてトークン形式で決済できる仕組みを検討している。
xStocksを活用した新インフラ
今回の提携では、クラーケンの親会社ペイワードが提供するトークン化株式フレームワーク「xStocks」を活用する。xStocksは公開企業株式へのトークン化エクスポージャーをブロックチェーン上で提供する仕組みで、開始から1年未満で取引総額は250億ドル(約3兆8750億円、1ドル=155円換算)を超えた。オンチェーン決済だけでも40億ドル以上が処理され、約8万5000人のユーザーが利用しているという。
両社はこの技術を基盤に、「Equities Transformation Gateway」と呼ばれる新しいインフラを構築する。これは規制された株式市場と、パーミッションレスなブロックチェーンネットワークを接続する仕組みだ。
このゲートウェイを通じて、トークン化された株式は機関投資家向けの規制市場とDeFiエコシステムの間をシームレスに移動できるようになる。
グローバル市場へのアクセス拡大
クラーケンとペイワードは、トークン化株式によって国際的な投資家の市場アクセスが拡大するとみている。従来の証券口座の開設や流通インフラが整っていない地域でも、ブロックチェーンを通じて株式市場へアクセスできる可能性があるためだ。
一方、先進市場の投資家にとっては資本効率の向上が期待される。トークン化株式は担保として利用することも可能となり、現物取引、デリバティブ、融資など複数の金融取引で資産を活用できるようになる。
クラーケンとペイワードの共同CEOであるArjun Sethi(アルジュン・セティ)氏は、「トークン化は株式をプログラム可能な金融資産に変える」と述べ、資本の効率的な活用を可能にする新たな市場インフラになるとの見方を示した。
ナスダックは、トークン化株式の設計と関連する分散型台帳技術(DLT)サービスを2027年前半に開始する予定としている。今後は企業、投資家、規制当局、金融インフラ企業などと協議を進めながら、トークン化株式の標準化と市場インフラの整備を進めていく。
|文・編集:Shoko Galaviz
|画像:Shutterstock
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