JPYC、アステリアらから17.8億円調達へ──マルチチェーン展開を拡充

日本円ステーブルコイン「JPYC」を発行するJPYC社は2月27日、シリーズBラウンドのファーストクローズにおいて、アステリアをリード投資家とする総額17.8億円の資金調達を実施する予定であることを発表した。

本ラウンドには、JR西日本イノベーションズ、bitFlyer Holdings、明治安田未来共創ファンド、ちゅうぎんキャピタルパートナーズをはじめ、金融、IT、鉄道といった幅広い業種の事業会社やベンチャーキャピタルが参画している。

今回の調達資金は、主に以下の4つの領域に重点投資される計画だ。

  • システム及びアプリケーションの開発:金融機関水準のシステム基盤の整備や、AIエージェントによる「M2M決済」への対応、マルチチェーン展開の拡充。
  • 事業開発に必要な人材の採用:事業開発人材のほか、法務・コンプライアンス分野のスペシャリストの確保。
  • ステーブルコインの発行・償還、取引、決済及び管理並びにその支援に関する事業:企業間送金やデジタル給与払いを見据えた、ビジネス用途での利用環境の整備。
  • 新たな成長機会への戦略的投資:新たなユースケース創出や戦略的アライアンス強化等。

こうした基盤強化の背景には、JPYCの流通規模が拡大している現状がある。

オンチェーンデータ分析サイト「JPYC info」が公開する最新の統計(2026年2月25日時点)によれば、累計発行額は14億JPYCに到達し、市場での総供給量は約4.7億JPYCを記録している。

ウォレットアドレスベースの総ホルダー数は約8.1万件に達しており、同社での直接口座開設数の約6.2倍にのぼる規模で流通が進んでいる。

実社会における具体的な活用シーンも広がりを見せている。決済分野では、2025年10月よりクレジットカード「Nudge」が利用代金の返済手段として日本で初めて採用し、既存のカードインフラとの統合を実現した。

SNS領域ではLINE NEXTとの協業を通じて、LINEアプリ上でデジタル通貨の管理や利用を可能にする新規ウォレットの実装検討が進んでいるほか、地方自治体との連携による「ふるさと納税」の寄付スキームへの導入も進展している。

関連記事:

LINEでステーブルコイン「JPYC」決済実現へ──JPYC社とLINE NEXTが協業検討で合意

ふるさと納税、インバウンド事業に円ステーブルコイン「JPYC」活用──JPYC発行量は9000万に迫る

さらに、グローバルな展望として米Circle社が主導する国際為替ネットワーク「StableFX」への参画を表明している。

NADA NEWSが本年1月に公開したインタビューにおいて、JPYC社の岡部代表は同プラットフォームを「2026年最大の仕掛け」と評し、即日決済による資金効率の向上を通じて、将来的にインターバンクの流通量を超える可能性に言及するなど、強い期待感を示していた。

関連記事:「インターバンクの流通量を超える」──JPYC岡部代表が語る、ステーブルFXの破壊力【2026年 創刊特集】

|文:栃山直樹
|画像:リリースから