香港財務長官、来年度予算案でステーブルコインやトークン化資産などへの取り組みに言及

香港政府は25日、2026-27年度の予算案を発表し、ステーブルコインやトークン化債券などデジタル資産分野の推進に向けた包括的な政策方針も明らかにした。財政長官のPaul Chan(ポール・チャン)氏は予算演説において、香港を暗号資産(仮想通貨)イノベーションの世界的ハブとして発展させる方針を改めて強調している。

ステーブルコインに関しては、法定通貨担保型ステーブルコイン発行者向けのライセンス制度がすでに導入されており、来月にも第1弾のライセンスが発行される予定だという。政府および規制当局は、認可発行者がコンプライアンスやリスク管理を遵守しつつ、多様なユースケースの開拓を進められるよう支援していくとしている。

また、デジタル資産市場の活性化に向けては、取引およびカストディサービス提供者のライセンス制度確立に向けた法案を年内に提出する見通しだ。証券先物委員会(SFC)は投資家保護を前提に市場の流動性向上を図り、プロ投資家向けの商品やサービス拡充を後押しするほか、イノベーション促進のためのアクセラレーターも設立する予定としている。

さらに、トークン化とデジタルインフラの整備も進められる。香港金融管理局(HKMA)は昨年11月、「Project Ensemble(プロジェクト・アンサンブル)」のパイロットフェーズとして「EnsembleTX」を開始し、トークン化預金やデジタル資産を用いた価値移転の実証実験を実施している。今年はHKMA傘下のCMU OmniClearによるデジタル資産プラットフォームが立ち上げられ、デジタル債券の発行・決済を支援する計画だ。

香港政府はまた、分散型台帳技術(DLT)を活用した債券の発行・取引を可能とするガイドラインの整備や助成金制度を通じて、トークン化技術の応用拡大を後押ししていく方針を示している。今回の予算案から、香港が法整備、税制、インフラの各面から暗号資産エコシステムの深化を目指していることが見て取れる。

|文・編集:井上俊彦
|画像:予算案について演説するポール・チャン財務長官(Hong Kong Government)