フィンテック分野の発展を目的とする金融庁主催の「Japan Fintech Week 2026」(以下、JFW2026)が24日、東京で開幕した。3月6日までの期間中、国内外の金融機関やフィンテック企業、政策当局が集い、デジタル金融の最前線を議論する。
当社N.Avenueは開幕初日となるこの日、ステーブルコインや中央銀行デジタル通貨(CBDC)、暗号資産など次世代の金融や通貨のあり方をテーマにした「FUTURE OF DIGITAL MONEY ― デジタル通貨カンファレンス」を初開催した。
冒頭のオープニングセッションでは、金融庁総合政策局参事官の島崎征夫氏が登壇。今年で3年目を迎えるJFWについて、期間中はAIやブロックチェーン、地域DXなど多様なテーマのイベントが予定されていると紹介。国内外の知見共有やビジネス創出につながる「ダイナミズム」を生み出すことが狙いだと説明した。昨年は延べ約2万人が参加したことにも触れ、今年も活発な議論に期待を示した。

デジタル通貨については、各国で民間金融機関や中央銀行を含む多様な主体が取り組みを進めていると指摘。ステーブルコインを含む包括的な基盤構築や国際送金を視野に入れたプロジェクト、中央銀行と民間銀行の連携による実証など国際的な動きが加速しているとし、日本の金融機関や当局もこうした動きに積極的に参画していると説明した。
デジタル資産と組込型金融の融合
続いて、グローバル・ファイナンス&テクノロジー・ネットワーク(GFTN)のCEO、Sopnendu Mohanty(ソプネンドゥ・モハンティ)氏と、当社代表取締役CEOの神本侑季によるスペシャルセッションが行われた。
GFTNは2024年、シンガポール金融管理局(MAS)によって設立された国際的な非営利団体で、フィンテックと金融イノベーションの促進を掲げる。東京でも年に一度、GFTNフォーラムを開催しており、JFW期間中に実施される中核イベントの一つに位置づけられている。今年も国内外の政策担当者や業界関係者が参加する見通しだ。
モハンティ氏は、2026年の世界的潮流として「フィンテックからAIファイナンスへのシフト」を挙げ、AI導入が投資・実装の両面で拡大していると指摘。さらに、旅行やサプライチェーン分野を引き合いに、実体経済に金融機能を組み込むエンベデッド・ファイナンスが拡大していると説明した。
そのうえで、デジタル通貨やデジタル資産、ステーブルコインの普及、現実資産(RWA)のトークン化といった動きが、AIや組込型金融と結びつきながら、「お金の定義」そのものを変えつつあるとの見方を示した。
神本は、こうした転換点にある今こそ実装フェーズの議論が重要だと強調。JFW2026の開幕日に本カンファレンスを開催した意義について、グローバルな潮流と日本の制度環境が交差するタイミングで、デジタル通貨の現在地と次の一手を議論する場にしたいとの考えを示した。
モハンティ氏は最後に、明確な規制枠組みと強固な金融基盤が日本の強みだと評価し、実務レベルでのユースケース創出が進めば、世界市場のトレンドを方向付けるモデルとなり得ると説明。「世界は日本を注視している」とし、JFWは日本の存在感と可能性を発信する好機だと説明。「今こそリーダーシップを発揮する時だ」と述べ、セッションを締めくくった。
|文・写真:橋本祐樹
|トップ画像:N.Avenue代表取締役CEOの神本侑季(左)とGFTNのソプネンドゥ・モハンティ氏
この日のプログラムは以下の通り。各セッションの模様は追ってお伝えする。
| プログラム | 登壇者 |
| Japan Fintech Weekオープニングセッション co-hosted by GFTN「開会のご挨拶」 | 金融庁総合政策局参事官 島崎征夫氏 |
| Japan Fintech Weekオープニングセッション co-hosted by GFT「スペシャルセッション」 | GFTN CEO Sopnendu Mohanty 氏、N.Avenue(NADA NEWS)代表取締役CEO 神本侑季 |
| Presentation「デジタルマネーの世界的な潮流」 | ディーカレットDCP取締役副社長執行役員COO 平子惠生氏 |
| Panel Session「制度から実装へ — デジタル通貨エコシステムの今」 | JPYC代表取締役 岡部典孝氏、ディーカレットDCP取締役副社長執行役員COO 平子惠生氏、三井住友フィナンシャルグループ執行役専務グループCDIO 磯和啓雄氏、日本暗号資産ビジネス協会副会長/ARIGATOBANK代表取締役CEO 白石陽介 氏 |
| Panel Session「国家・市場・通貨の新しい関係 — デジタル通貨は国際通貨秩序を再編するのか」 | 財務省国際局地域協力課長 津田夏樹氏、Circle Vice President, Strategy & Public Policy APAC David A. Katz氏、Deutsche Bundesbank Director General, Digital Euro Dr. Alexandra Hachmeister氏 |
| Panel Session「“お金”はどこまで拡張されるのか — 資本市場・銀行・事業会社が描く次世代マネー」 | Progmat代表取締役Founder and CEO 齊藤達哉氏、ブラックロックグローバル・マーケッツ部部長 田中勇毅氏、Digital Asset Managing Director, Japan 東郷太郎氏、N.Avenue(NADA NEWS)編集長 増田隆幸 |
| Panel Session「ステーブルコインの実装と、グローバル標準への戦略」 | アステリア代表取締役社長CEO 平野洋一郎氏、ソニー銀行DX事業企画部長 金森伽野氏、Solana Foundation APAC Lead Lu Yin氏、IVC Partner Ann Chien氏 |
| Presentation「ステーブルコインの実務運用 ― 信頼を築くための セキュリティとコンプライアンス戦略」 | チェイナリシスジャパン日本代表 内田 雅彦氏 |
| Panel Session「“お金”の再定義 ― デジタル通貨は未来の経済システムをどう変えるのか」 | 政策研究大学院大学教授 安田洋祐氏、デジタル庁統括官(デジタル社会共通機能担当) 楠正憲 氏、財務省理財局国庫課デジタル通貨企画官 鳩貝淳一郎氏 |