Fear and Greed Indexが示す「極端な恐怖」──行動ファイナンスから見る現在の市場心理【エックスウィンリサーチ】

● 市場心理は歴史的に見ても極端な恐怖水準にある。
● 投資家の損失回避とリスク回避姿勢が強まっている。
● 回復には時間を要し、現在は基盤形成段階にある可能性が高い。

現在のFear and Greed Indexは、過去の統計と比較して極めて低い水準に位置している。歴史的に見ても、このような水準は2018年のベア市場底、2020年のコロナショック、2022年のFTX崩壊といった、市場の極端なストレス局面でのみ観測されてきた。つまり現在の市場心理は、単なる弱気ではなく、「構造的恐怖」と呼べる領域にある。この状態は、多くの市場参加者がさらなる下落を予想し、リスク回避行動を強めていることを示している。

この極端な恐怖状態は、行動ファイナンスの観点から明確に説明できる。第一に、「損失回避バイアス(Loss Aversion)」である。人間は利益よりも損失に対して約2倍強く反応する傾向があり、価格が急落すると合理的な判断よりも損失回避を優先する行動が強まる。これにより、本来は長期的な投資機会であっても、多くの投資家が恐怖に基づき売却を選択する。

第二に、「利用可能性ヒューリスティック(Availability Heuristic)」が影響している。直近の急落やネガティブニュースが強く記憶に残ることで、投資家はそれが今後も継続すると過大評価する傾向がある。実際には市場は循環的であるにもかかわらず、短期的な恐怖が将来の予測を歪める。

第三に、「群集行動(Herd Behavior)」である。Fear and Greed Indexが極端な低水準にあるとき、市場参加者は独自の判断よりも市場全体の行動に追随する傾向が強まる。この結果、売りが売りを呼ぶ連鎖的な動きが発生し、心理指標は実際のファンダメンタルズ以上に悲観的な水準へと到達する。

興味深いことに、歴史的にはFear and Greed Indexが極端な恐怖水準に達した局面は、市場の転換プロセスの初期段階と重なることが多い。しかし、これは即座の回復を意味するものではない。むしろ多くの場合、恐怖が極端な水準に達した後も、市場は一定期間にわたり不安定な推移を続け、底形成には時間を要している。これは損失確定売りの継続や、投資家のリスク回避姿勢が長く残るためである。極端な恐怖は売り圧力のピーク接近を示唆する可能性はあるものの、需要の回復が確認されるまでは、本格的な上昇には移行しにくい。

現在の市場は、価格の調整だけでなく、心理構造のリセットが進行している段階にある。Fear and Greed Indexの極端な低水準は、市場参加者の信頼が大きく低下し、新規資金の参入が慎重になっていることを示している。行動ファイナンスの観点では、大きな損失を経験した後、投資家心理が回復するまでには時間が必要であり、この心理の回復過程が市場の回復速度を左右する。

したがって、現在の極端な恐怖は、市場が転換点そのものにあるというよりも、回復に向けた基盤形成の初期段階にあることを示唆している。過去のサイクルと同様に、本格的な回復には心理の正常化と資金フローの回復を伴う時間的プロセスが必要となる可能性が高い。

オンチェーン指標の見方

Fear and Greed Indexは、暗号資産市場における投資家心理を定量的に可視化する代表的なセンチメント指標である。本稿では、http://Alternative.meが提供するCrypto Fear & Greed Indexを参照している。この指標はBitcoinを中心とした暗号資産市場を対象とし、ボラティリティ、市場モメンタムと出来高、SNS活動、Bitcoinドミナンス、Google検索トレンドなど複数の要素を統合して算出される。これにより、価格変動そのものだけでなく、市場参加者の関心度やリスク選好の変化を包括的に捉えることが可能となる。Fear and Greed Indexは複数の提供元が存在するが、http://Alternative.meの指標は最も広く参照されており、市場心理の現在地を把握する上で重要なベンチマークとして機能している。

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