● 現局面は弱気調整フェーズで、供給側(マイナー収益)の圧迫が進行中。
● ハッシュレートは高水準を維持し、全面的な降伏段階には至っていない。
● 手数料低迷が続く限り、需要主導の回復確認は限定的。
現在のビットコイン市場は、弱気相場の調整フェーズに位置づけられる。方向性としては、現時点では条件付きで弱気が優勢である。価格下落に加え、供給側であるマイナーの収益環境が悪化している点が、構造面での焦点となっている。
マイナーとは、ビットコインの取引を承認し、ブロックを生成する役割を担う事業者である。計算競争に参加し、成功報酬としてブロック報酬と取引手数料を受け取る。この報酬が主な収益源であり、電力費や設備投資などの固定費を賄う。したがって、価格下落や手数料低迷は、直接的に採算性へ影響する。
添付の「マイナー日次収益とネットワーク計算力」のチャートでは、価格低下と連動して日次収益が縮小していることが確認できる。マイナー収益は価格に依存するため、価格が下落すればドル建て収益は即座に圧迫される。一方で、現時点ではハッシュレートは大きく崩れておらず、高水準を維持している。これは収益性が悪化しているにもかかわらず、ネットワーク全体の計算能力が急減していないことを意味する。すなわち、広範な設備停止や大規模撤退には至っていない段階と整理できる。
ただし重要なのは時間軸である。収益減少が長期化すれば、固定費比率の高いマイナーは資金繰り対応を迫られる。マイニング事業は電力費や設備償却などの負担が大きく、キャッシュフロー確保が最優先となる。そのため、保有BTCを売却して運転資金に充当する行動は合理的な選択となる局面がある。この売却が積み重なれば、短期的な供給圧力として市場に作用しやすい。
さらに「マイナー日次収益の内訳(手数料+ブロック報酬)」を見ると、現状はブロック報酬依存度が高く、手数料収入は限定的である。ブロック報酬は固定的な供給であるのに対し、手数料はネットワーク活動や投機需要の強弱を反映する。過去の強気局面では手数料が急増し、価格変動に対する緩衝材となった。現在は価格下落と手数料低迷が同時に進行しており、需要主導の回復局面ではないことを示唆する。供給側の収益圧迫と需要側の活動低下が重なる構図である。
歴史的に、マイナーのキャピチュレーションは相場終盤で観測されることが多い。弱いプレイヤーの退出により供給圧力が一巡し、構造改善につながる場合もある。ただし、その過程では売却増加に伴うボラティリティ拡大が起きやすい。エックスウィンリサーチでも、価格よりも供給側の耐久力に注目すべき局面を指摘してきたが、現状はその検証段階にある。
反対シナリオとしては、ハッシュレートが明確に減少せず、かつ手数料比率が回復する場合、需給バランス改善の兆候と解釈できる。一方、ハッシュ低下と収益圧迫が同時に進行する場合は、弱気フェーズが延長される可能性がある。
現時点では、収益悪化に伴う供給圧力継続がベースシナリオ。ただし、ハッシュレートの急減や手数料構造の変化が確認される場合、この見方は見直す必要がある。
オンチェーン指標の見方
1.ビットコイン:マイナー日次収益とネットワーク計算力
マイナーの日次収益(ドル建て)と、ネットワークのハッシュレートを同時に示すチャートです。収益は価格に強く連動し、価格下落局面では急速に縮小します。一方、ハッシュレートが維持されていれば、ネットワークの体力は保たれていることを意味します。収益減少とハッシュ急低下が同時に起きる場合は、マイナー降伏(capitulation)の警戒サインになります。

2.ビットコイン:マイナー日次収益の内訳(手数料+ブロック報酬)
マイナー収益を「ブロック報酬」と「取引手数料」に分解した構造チャートです。通常はブロック報酬が安定的な収益源で、手数料は需要が高まると急増します。手数料の伸びはネットワーク活動や投機熱の高まりを示す先行指標です。手数料比率が低い状態は需要の弱さを示し、価格主導の相場であることを意味します。

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