米国で急成長する予測市場を巡り、州政府と連邦政府の管轄権を問う法的対立が本格化している。暗号資産(仮想通貨)ベースの予測市場プラットフォームであるPolymarket(ポリマーケット)は、マサチューセッツ州による規制措置に異議を唱え、連邦裁判所に提訴した。
スポーツや政治などの「イベント契約」は、州がギャンブルとして取り締まれるものなのか、それとも連邦法の下で一元的に規制される金融商品なのかが、改めて争点となっている。
「管轄権は連邦にある」:Polymarket
ポリマーケットの最高法務責任者(CLO)であるNeal Kumar(ニール・クマール)氏は、Xへの投稿で、同社がマサチューセッツ州を連邦裁判所で訴えたことを明らかにした。
同氏は、「イベント契約に対する排他的な監督権限は、議会によって米国商品先物取引委員会(CFTC)に与えられている」と主張し、州政府が個別にプラットフォームを閉鎖しようとしても、「連邦法の枠組みは変わらない」と強調した。
予測市場運営者側は、これらの市場を全国規模で運営される金融市場と位置づけており、州ごとに異なるギャンブル規制を適用することは不合理だと訴えている。
発端はKalshiを巡る州裁判所の判断
今回の訴訟の背景には、マサチューセッツ州で下された別の重要な司法判断がある。
先月、同州の裁判所は、ポリマーケットの競合であるKalshi(カルシ)に対し、州のゲーミングライセンスを取得せずにスポーツイベント契約を提供することは違法だと判断した。
裁判所は、州司法長官Andrea Joy Campbell(アンドレア・ジョイ・キャンベル)氏の主張を認め、これらの契約は「無許可のスポーツ賭博」に該当すると結論づけた。その後、カルシが命令の執行停止を求めた申し立ても却下され、同社は30日以内に是正対応を取るよう求められている。
他州にも広がる締め付け
マサチューセッツ州は、予測市場に対して強硬姿勢を示す州の一つに過ぎない。
ネバダ州の規制当局も、カルシやポリマーケット、さらには関連パートナー企業に対し、スポーツ関連のイベント契約を巡って措置を講じている。また、暗号資産取引大手のCoinbase(コインベース)も、同様のイベント契約商品を巡って州レベルでの訴訟に直面している。
一方で、司法判断は州ごとに分かれている。テネシー州では今年1月、連邦判事が、カルシのスポーツ契約に対する州の停止命令の執行を一時的に差し止めた。裁判所は、連邦の商品先物法が州のギャンブル規制に優先するかどうかを慎重に検討している段階だ。
争点は「金融商品」か「ギャンブル」か
この一連の法廷闘争の核心は、予測市場のイベント契約が何であるかという定義にある。
運営企業側は、これらを連邦法に基づくデリバティブ(金融派生商品)と位置づけ、監督権限は CFTCにあると主張する。
一方、州当局は、特にスポーツを対象とした契約については、実質的に賭博行為であり、州のギャンブル法やライセンス制度の対象になると反論している。
この対立は、州が独自に市場を制限できるのか、それとも連邦法が優越するのかという、米国の連邦制そのものに関わる問題でもある。
連邦レベルでは規制緩和の動きも
興味深いことに、こうした州との摩擦が続く一方で、連邦レベルでは業界寄りの政策転換が進んでいる。
今月初め、CFTCはバイデン政権下で提案されていた政治イベント契約を禁止する規則案を撤回し、スポーツ関連契約に関するガイダンスも廃止した。これは、予測市場を全面的に排除するのではなく、より明確なルールの下で管理しようとする姿勢の表れと受け止められている。
|文・編集:Shoko Galaviz
|画像:Shutterstock
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