AIインフラ企業Sharon AI、USD.AIから最大約790億円の融資枠確保──GPU担保とオンチェーン信用を活用

オーストラリアのAIインフラ事業者SharonAI Holdings Inc.(シャロンAI・ホールディングス)は、USD.AIから最大5億ドル(約790億円、1ドル=158円換算)のデット・ファシリティ(融資枠)が承認されたと発表した

シャロンAIは「Neocloud」を掲げる企業として、先端AIワークロード向けに、安全かつ大規模なコンピュート基盤を豪州およびアジア太平洋地域で構築している。

今回の枠組みの特徴は、伝統的な銀行やプライベートクレジットへの依存度を下げつつ、オンチェーンの信用システムを用いてAIインフラ投資を加速させる点にある。プレスリリースによれば、この融資枠により、承認済みのGPU配備をステーブルコイン流動性で資金調達できる見込みだという。

シャロンAIは、この融資枠を2026年第1四半期から利用開始し、まず6500万ドルの初期GPU配備を資金面で支える計画だ。さらに、インフラの検証と運用開始が進むにつれ、追加容量の資金調達も段階的に行える設計となっている。

同社は直近で、豪州およびアジア太平洋での高性能コンピュート展開を加速するため、1億ドルの転換社債による資金調達も完了したとされる。狙いは一貫しており、AI学習と推論を大規模に回すための、安全・高性能な計算資源を拡張することだ。

USD.AIのモデルは、信用リスクを企業全体ではなく「インフラ資産」に隔離する点が中核となる。プレスリリースでは、信用は企業のバランスシートではなく、検証済みGPU資産のみに対して設定されると説明されている。

さらに、承認されたGPU配備は独立に検証され、標準化されたオンチェーン担保へ変換される。これにより、信用発行の根拠が透明化され、モニタリングも継続的に行えるという。

この構造は、AIインフラ事業者にとっては株式希薄化を避けた拡張というメリットにつながる。一方、資金提供者側は、収益を生むコンピュート資産へのエクスポージャーを直接持つ形になる。

伝統的金融レールの制約を回避する「オンチェーン・クレジット」

USD.AIは、オンチェーンの信用市場を通じて、GPUを担保に資金調達を可能にするプロトコルだ。USD.AIプロトコルを開発するPermian Labsの共同創業者兼COOであるConor Moore(コナー・ムーア)氏は、シャロンAIを次のように評価している。

「シャロンAIは、十分な資本力と運用能力、そして上場企業としての規律を備える一方で、成長が旧来の遅い金融レールに縛られることを望まないパートナーだ」

今回のシャロンAI向けの融資枠は、USD.AIが進めるGPU担保型の資金供給枠の一部である。プレスリリースによれば、USD.AIはQumulusAIやQuantum Solutionsなどに対する枠も含め、これまでに12億ドル超の融資枠を承認してきたという。

AI計算需要の世界的な加速を背景に、USD.AIはGPU担保クレジットを「次世代インフラの基盤的な資金調達メカニズム」として拡大させる構えを示している。ブロックチェーンネイティブの決済と、長期稼働する現実資産(GPU)を接続し、機関投資家水準の資本配分を反復可能にする設計だとしている。

USD.AIは自らを「GPU担保インフラ向け、世界初のブロックチェーンネイティブ信用市場」と称する。プレスリリースでは、AIハードウェアをトークン化担保へ変換し、深い流動性と迅速な決済を通じて、AI事業者の資金調達を支援すると説明されている。

また、USD.AIはデュアルトークンとして、USDai(高い流動性を持つステーブルコイン)と、sUSDai(利回り付きの対応トークン)を提示している。事業者側には新たな流動性経路を提供し、投資家側には「現実資産由来の利回り」をスケールさせる設計だという。

シャロンAIの共同創業者兼会長James Manning(ジェームズ・マニング)氏は、USD.AIとの提携を前向きに評価している。

「USD.AIのGPUファイナンス手法は市場をリードしており、豪州およびアジア太平洋での計算基盤拡大を加速する中で、さらなる配備を進めたい」

シャロンAIは、ハイパースケール、研究機関、企業、政府といった幅広い需要を対象に、セキュアで高性能な計算資源を提供するとしている。今回の資金枠は、その拡張ペースを押し上げる材料となる。

|文・編集:Shoko Galaviz
|画像:Shutterstock