Morgan Stanley、ビットコインとソラナの現物ETFをSECに申請

米ウォール街の名門、Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)が、暗号資産(仮想通貨)戦略を一段と前進させた。同行は1月6日、米証券取引委員会(SEC)に対し、ビットコイン(BTC)現物ETF(上場投資信託)およびソラナ(SOL)現物ETFの登録申請「Form S-1」を提出した

ビットコイン現物ETFの概要

申請された「Morgan Stanley Bitcoin Trust(モルガン・スタンレー・ビットコイン・トラスト)」は、ビットコイン価格に連動するパッシブ型の現物ETFとして設計されている。デリバティブやレバレッジは使用せず、実際にビットコインを保有する形で運用される点が特徴だ。基準価額(NAV)は、主要な現物取引所の取引データから算出される指定ベンチマークを用いて日次で算定される。

ETFの仕組みとして、設定・償還は「認可参加者(Authorized Participants)」によって大口単位で行われ、現金または現物(ビットコイン)での受け渡しが可能とされている。一般の個人投資家は、証券口座を通じて二次市場で売買する形になる。上場取引所やティッカーシンボルは、現時点では未公表だ。

ソラナETFと「ステーキング」という差別化

同時に申請書が提出された「Morgan Stanley Solana Trust(モルガン・スタンレー・ソラナ・トラスト)」は、ソラナ価格との連動を目指す商品で、ステーキング機能を含む可能性が示唆されている点が注目される。これは単なる価格追随型ETFを超え、ネットワーク参加による利回りを組み込む構造を想定していることを意味する。

すでに米国市場では、ソラナ関連ファンドの純資産総額が10億ドル(約1570億円、1ドル=157円換算)超に成長し、累計流入額は約8億ドルに達しているとされる。モルガン・スタンレーは、この成長分野においても主導権を握ろうとしている。

急成長する米国の暗号資産ETF市場

背景には、米国における暗号資産ETF市場の急拡大がある。2024年1月に米国でビットコイン現物ETFが承認されて以降、関連商品の累計取引高は2兆ドルを突破。最初の1兆ドルに到達するまでに1年以上を要した一方、次の1兆ドルは約8カ月で積み上がった。これは、流動性と参加者が急速に拡大していることを示す。

現在、米国のビットコイン現物ETFが保有する資産は1235億ドル超に達し、ビットコイン時価総額の約6.6%を占める。価格が一時的に10万ドルを下回る局面でも、ETFへの資金流入は継続しており、投資家層の裾野が広がっている。

規制環境の変化と追い風

制度面でも追い風が吹いている。2025年9月、SECは暗号資産ETF向けの包括的な上場基準を承認。これにより、従来は最大240日かかっていた個別の規則変更(19b-4)手続きを経ずに、一定条件を満たす商品が迅速に上場できるようになった。

さらに、ドナルド・トランプ大統領の再任後、SECの姿勢が比較的「暗号資産フレンドリー」になったとの見方もあり、伝統的金融機関の参入を後押ししている。

モルガン・スタンレーの狙い

モルガン・スタンレーは約6兆4000億ドルの運用資産を抱える巨大金融機関であり、特にウェルスマネジメント部門に数千人規模のアドバイザーを擁する点が強みだ。同行は2025年10月、顧客口座に対して暗号資産へのアクセスを本格開放している。

競合のBlackRock(ブラックロック)では、ビットコイン現物ETFが短期間で主要な収益源の一つに成長し、割当額は1000億ドル規模に近づいたとされる。この「ETFビジネスの経済性」は、モルガン・スタンレーにとっても無視できない。

暗号資産投資は主流へ

モルガン・スタンレーはすでに、暗号資産を「オポチュニスティック(機会的)」資産として最大4%まで組み入れ可能とする内部ガイドラインを設定し、ブラックロックやGrayscale(グレースケール)と足並みを揃えている。さらに、退職年金口座を含む幅広い顧客層にも、暗号資産投資の道を開いてきた。

今回のビットコインおよびソラナETF申請は、暗号資産がもはや一部投資家の投機対象ではなく、規制下で提供される主流金融商品へと移行しつつあることを象徴している。

|文・編集:Shoko Galaviz
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