米国で上場する暗号資産現物ETFについて、上場以降の累積取引高(cumulative trading volume)が2兆ドルを超えたと、複数の海外メディアが伝えている。この数字は、暗号資産市場の現在地を読み解くうえで重要な示唆を含んでいる。
まず注意したいのは、この数字は運用資産残高(AUM)ではないという点だ。あくまで、上場後に市場で売買された取引高の合計であり、「暗号資産ETFの市場規模が2兆ドルに達した」ことを意味するものではない。
それでも、この数字が示す意味は小さくない。暗号資産が、既存の伝統的金融(TradFi)の中に本格的に組み込まれたことを端的に示しているからだ。
米国では、2024年1月にビットコイン現物ETFが初めて上場して以降、日次で数十億〜数百億ドル規模の取引を積み重ねてきた。累積取引高は、上場から約16カ月後の2025年5月に1兆ドルを超え、その後の8カ月ほどで2兆ドルと倍増した計算になる。
これは、ビットコインETFに代表される暗号資産ETFが、長期保有の手段としてのみならず、売買、ヘッジ、資金移動のための流動性の高い金融商品のひとつとして定着しつつある現実を映し出している。
なお数字は、Bloomberg Intelligenceなどの集計をもとに、海外のニュースサイトが報じたものだ。
日本では2026年、暗号資産の規制法が金融商品取引法(金商法)の枠組みに移行することが見込まれている。日本の多くの企業にとって、年初の営業開始日となる今日1月5日に示されたこの数字は、暗号資産と伝統的金融(TradFiI)との融合が進んでいることを示す象徴的な数字と言えるだろう。
|文:増田隆幸
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