ビットコインは「欲しがられて」広がるわけではない
「いつになったら、日本でビットコインは広がるのか」。
こうした問いに対して、劇的な転換点を想像する人は多い。しかし実際には、そのような瞬間は訪れないだろう。
思い出してほしい。PayPayが登場したとき、多くの消費者が「使いたい」と熱望していたわけではなかった。それでも、使える店が増え、キャンペーンで存在を知り、気がつけば日常の選択肢になっていた。普及の理由は単純だ。
欲しかったからではなく、使えたから使った。それだけである。
Suicaも同様だ。切符で十分だと言われながらも、改札を止まらずに通れる体験が広がり、生活に溶け込んでいった。ビットコインも、この延長線上にある。
「使えるから使う」が、日本での自然な広がり方になる
日本人が積極的に「ビットコインを広げてほしい」と声を上げることは、おそらくない。だが、使える場面が少しずつ増えれば、話は別だ。
海外送金、インバウンド対応、特定の決済。
必要に迫られた場面で「使える」という選択肢がそこにあれば、人は自然とそれを使う。そこに思想や信仰は関係ない。生活の中で機能しているかどうか、それだけが判断基準になる。
日本では「ビットコインは必要ない」と言われがちだが、実際には見えていないニーズが存在する。
・銀行口座を自由に使えない人
・クレジットカードを持てない人
・あるいは決済そのものが止められてしまう人
こうしたケースは少数派かもしれないが、確実に存在している。
世代交代と環境整備が、静かに流れを変えていく
もう一つ重要なのが、世代の変化だ。
Z世代を中心とした若い世代は、物理的なモノへの執着が少ない。音楽はストリーミング、映画はサブスク、ソフトウェアはクラウド。「所有」ではなく「アクセス」が当たり前になっている。
その感覚にとって、デジタル資産を持つことは不自然ではない。物理的な形がないことは、むしろ利便性の一部だ。
さらに、金融商品としての整備も進みつつある。もし証券口座からビットコインに触れられる環境が整えば、人々は「買おう」と意気込むのではなく、選択肢の一つとして、自然に使うようになるだろう。
日本におけるビットコインの普及は、革命でもブームでもない。「使えるから使う」という、ごく当たり前の形で進んでいく。気がついたときには、特別な存在ではなくなっている。
その変化は、すでに水面下で始まっている。
詳細は書籍『ビットコイン持ってますか?: なぜ日本人は「お金の話」と「ビットコイン」を避けるのか?』から。
書籍概要
タイトル:『ビットコイン持ってますか?: なぜ日本人は「お金の話」と「ビットコイン」を避けるのか?』
著者:株式会社ANAPホールディングス代表取締役社長・フルグル合同会社CEO
川合林太郎

